テキスト1987
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玉;ついこの間まで咲いていた檜扇がもつ実を結んでいる。花が終ると右の図のように三枚の心皮でできた朔果がふくらみ、熟すと心皮が裂けて、中から真黒な艶々した粒が顔を出す。昔はこの黒い種を女の子が服飾品として使ったそうだが、烏羽玉、或はぬばたまと読み、和歌において、黒い色の美しさ(黒髪)や、闇夜の枕詞とされている。ふくらみはじめた緑の檜扇の実は他の5臨向科のものよりふっくらと軽やかなので風雅に感じられる。とりあわせとして猿取茨(山蹄来)の茶色の枯実、未熟な淡緑の実に完熟した真赤な実を少量と、三色使って山地の原野のどこかで見られそうな秋をいけてみた。花材檜扇の実即鮨花器灰色釉深鉢しんびさ11 烏ぅ羽ば

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