テキスト1987
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先日京都で開催された、いけばなインターナショナル世界大会の、記念講演で、京大の吉田光邦先生が、「日本のいけ花では、美しく咲いた花は、花だけでなく、みずみずしく育った葉も大切にいけるが、ヨーロッパでは、花そのものだけに関心があって、緑の葉は無視されている」と云っておられた。この世界大会では、日本の花道家も、くり返し説き続けてきたことなので、世界各地から集まったいけ花人達はよく心得ている事柄だろうと田ゃっ。そして、日本のいけ花も世界中にひろまったことはたしかなことであると云える。だがそれは、まだまだごく一部の表面的な現象に過ぎないらしい。最近ヨーロッパから日本への輸出攻勢のおかげで、チューリップの国オランダから美しく立派な百合類も沢山輸入されている。お国自慢のチューリップの花はたしかに誇り得るだけの美しきはもっている。ところが葉にいきおいがなく、どうにもいけにくいのである。葉にいきおいがないということは茎も弱いということである。結局のところ、葉をとって短かく挿す以外方法がないわけである。フラワーデコレーションならそれでもいいかもしれないが、いけ花としてチューリップ8

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