テキスト1986
89/144

はたんきた生花では、一種類の葉だけで完成させるという日本独特の技巧が山されたが、それは、花材を真、副、留というシンプルな三線の構成に封じ乙めるというきびしい条件を持っていたからである。そ乙では線の構成に主眼がおかれ色彩はその形の構成に破綻を来さないもののうちから最良のものを選ぶという傾向が強い。ところが生花のきびしい制限をはずしてみると、色彩の構成(配色)が主になってくる。それは現代の盛花や投入に限った乙とではなく、江戸時代以前から行われていたお茶花やそれに類した自由花においても、いえる乙とである。いくら野にあるようにいけようとしても、葉蘭三枚だけでは茶席の飾りとはなり得ない。紅葉、或いは半夏生のような斑入り葉物等、一種で色彩に変化のあるものが何とか使えるにすぎない。近頃は多種多彩な観葉植物の鉢植が、園芸植物店や花屋で売られているだけでなく、通信販売さえ行われている。それらのうちの多くは、副判としてではなく、主材として使えるものが多い。作例ではデイエツフェンパキアを主材としてみたが、花で色彩を使わず、紺と、赤のガラス器を使って葉の清潔な白さをひきたてている。葉のいけ花はんげしようふ今月号では、主としてガラスと染付の花器を使っている。染付は、府知の多い陶磁器のなかでも最も身近なものであり、それを好む人も多い。食器としては、一年中時を好まず使われているが、花器としては、その清涼感ゆえ、特に暑熱の時期に好んで使われる。ガラスの花器も一応反向きのものとされているが、暖房のいきとどいた現代建築の中では、別に時期は問わないようである。表紙に使ったガラス花器は、無色の地に紫の色ガラスを流し込んだような模様がついており、表面が摺ガラス状の艶消しになっているので、陶加のような肌什いでもある。ふくらみもあり、安・江のいい花認なので、大きなアテチョークを三木挿し、ではじめた白のコスモスをマッス状に添えてみた。配色はおとなしいが、形の力強いいけ花である。だが、そのままでは回苦しく、重々しいので、紫酬を添え、力を抜いている。あまり大きないけ花ではないが、静かな広い洋聞に飾ってみたアテチョーク(菊科)コスモス(菊科)紫聞(闘科)ガラス花瓶花器〈表紙の花ニューサイアンスリウムの葉ディェッフェンノてキアトレtJUI−−午144新国間花器ガラス器(市|「・誌)〉3 ιみ

元のページ  ../index.html#89

このブックを見る