テキスト1986
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あまどιろためとも申り花器灰色柚花瓶花が一輪だけついていて、がり具合のよい為朝百合があったので、それを真に用いた生花をいけてみた。百合類の多くは、頂上部で茎から四、五本の花梗がのび、そのひろがった先端に花をつけている。単純な線の構成を求める生花にはその点で扱いにくい花材といえる。だから生花の稽古に鉄砲百合を使う場合には、必ず一輪咲きのものに限って注文している。昔の生花図を見ていると、輪付き(花を多数つけているもの)の百合が良い形におさまっているようだが実作は、はたしてどの程度までまとまっていたのか少し疑問があるのではないかと感じる。乙の生花は、真、副を為朝百合、桔視を胴と控に、留には形のよい鳴子百合をあてている。この鳴子百合は葉の縁に白い覆輪がなく、形も丸みをおびていて萎葱に似ている。草花の生花はあまり撰めたくないのだが、この生花では鳴子百合だけ少し手を加え、留としての形をととのえている。茎のま為朝百合鳴子百合梗7

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