テキスト1986
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うるしばしよう花叩布私が花の名前を一通り覚えるのにどれぐらいかかったのだろうか。「いずれかあやめ、かきっぱた」ころではなく、梅と桜の区別もつきかねていたのである。いけ花をはじめてから当分の聞はごくありふれた花でも、その名前をおぼえるのが大変だったが、このごろやっと一通り区別できるようになりかけている。それでも例えば桜や椿の品和名、まして変租の名前まではとても頭の中に入りきらない。それに見たととも、聞いた乙ともない花の多さに自分の無知を思い知ると同時に大きな興味を抱くようになった。だが変った花の方がまだ名前がおぼえやすい。作例のスモークツリl(けむり草)もなるほどそんな感じがするし、ヘリコニアも印象に残りやすい花である。そして変っていて、見なれない花は自分の主観だけをもとにして向由ないけ方ができるととろが有難い。花探として使ったのは、厚手の鋼板を花びら形の水盤状に打ち出したもので、一つ一つ形がちがっているので組みあわせて色々変化させるととができる。強い光沢のある銅板、きつい紅色のへリコニア、それをやわらげるようにスモークツリーをとりあわせた創作花である。花材スモークツリ!(漆科)へリコニア(芭蕉科)銅製水盤ど3

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