テキスト1986
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はなびらこわいけばな同人「西樹」花のエロス展は会場を二分し、ゾーンは一般的な普通の花席、ーンは暗転させ字宙空間を想わせるような花席とし、各同人がそれぞれに一作ずつ出品した。Aゾlンには6、7頁に掲載した桜と柳の立花。の写真である。ぷ佑のエロスe展記串いじ申板を長き叩センチの花弁形に打ち出したものである。その銅の花弁が宙を舞いおりてくるような感じにつるBゾし、そこにグロリオlサと鉄線をそえてみた。使用した材料は他に鋼板をつるした3ミリのステンレスワイア、下に撒いであるのはカナダ産の針葉樹の木の皮。パックには星空のBゾーン出品作が左ような光の点を使っている。主材として使ったのは3ミリの銅銅の花弁を作るのに手聞がかかるので二月初旬から打ち出しはじめたのだが重い上に固いので最初の一枚には手古摺ったが二枚目からは少し要領がよくなりあとは調子よく作業が続けることができた。大体私という人聞は手を動かしてきえいれば機嫌のよい方なのでこんな仕事にはうってつけなのである。料理が好きなのも、家の中の壊れものの修繕を喜んで引受けるのもそのせいである。この作業や模型を仕事の合問に作てこず第三種郵便物認可桑原専慶流いけばなテキストm号昭和白年5月1日発行(毎月l回1日発行)桑原専鹿流家元発行はなり細部の構造まで考えた上で会場に運びこんで仕上げにかかったのだが今度の場合暗室に近い空間の中でこの鋼板による構成を、頭の中で描いていたイメージとあわせなければならないのに苦労した。ここで最も大切なのは照明方法だが私がこれまでに使ったことのあるのはせいぜいスポットライト程度のものである。昔とくらべものにならないほど各用途にあった照明機材の出まわっている今日、今回のような作品を会場に持ちこむ場合現在の照明技術の初歩的な知識ぐらいは持っておくべきであろう。又その知識が白分の作ろうとするものに新しい視点を与えることにもなる。今後多くの場でこのような条件で自分の花を見せる機会がふえそうである。それは単に照明だけの問題ではなくもっと多くの知識もたくわえておかなければならないことを痛感した。今回のいけ花展では多くの方々から色々な感想をきかせていただいた。そして皆がいけ花にどんなものを求めているのかを深く考えるよい機会でもあった。私自身はあまりいけ花というものの解釈の範囲をひろげず、ただ花瓶に花を挿すだけでも手のとどかない奥深きを感じているが、花が飾られる場の変り方は昔とくらべて大変大きい。とくにいけ花展の会場ではその条件が完全に使いこなせるよう勉強しておきたいと思う。定価五OO円A

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