テキスト1986
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第二種郵便物認可桑原市寸底流いけばなテキスト別号昭和白年4月l日発行(毎月l回l日発行)桑原市守慶流家元発行情をいけはじめるのは十月の半ば頃、そしていけ終るのは五月に入ってからのことである。その七ヶ月の問に私達は何種類もの椿を手にするが、一輪の花に対する葉の量、それにつながる枝の姿をいかに巧妙にとり出せばよいかと毎回迷いながらいけ続けている。とくに椿を主材にした小品花は一枚の葉の働きが全体の姿を大きく左右するので大体の形にいけておいてから一枚切り、他の一枚の向きをととのえ、という具合に慎重によく見定めながら完成させて行く。一般的に惰は丈を高く使うことが少ない。立花でも下段の前置のあたりに深い緑の葉で水際のしまりをつけながら、その鮮かな色が水面に映える効果まで考えて他われている。雌花や投入でも低く下段に根締めのような役目に枇われることが多い。それは椿の枝ぶりには厚く濃い緑の葉が重なりあっているので、高く使うよりも豊かに茂った枝を低〈安定させ、そこに美しく聞いた花を見せるのが一般的な用い方である。高く使う場合には花や葉は先の方だけ残し、途中は葉をとった裸の枝にして軽やかさを出し、作例のように重苦しきを感じきせないように挿してから下の方に葉をそえる。花器ガラス鉢花材白椿へレコニア定価400円まえいねき・

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