テキスト1986
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崎ば山、Aだいかぐらせいひおし吋つつしん川白椿カ秋から幾種類もの椿を使ってきた。花期は五月までというものの花材として手に入る椿はだんだん少なくなってくる。作例に使った白椿は一重咲の大輪種で葉に白斑の入った立派な花である。椿は千、或いは二千も品種があると言われているが私達が花材とし花器ものであろう。名品とされている品て用いるのはその何十分の一ほどの種の大部分は栽培数もどく僅かで切り花として普及すると乙ろまではいかないだろう。いけ花として使いたい椿は名品よりむしろありふれた品種の中から使いやすいものをえらぶべきであろう。まずあまり高価ではなく充分な量を使えること。いくら珍しく美しい椿でも貴重な品種はあまり大きく枝はとりたくない。一輪挿で観賞する程度のものヱある。次に葉のよいものをえらびたい。その点では寒い問の方が椿の葉の状態は良い。四月も半ばを過ぎてから咲く椿は開花期に新葉の芽が生長しはじめるので古葉に勢いがなく、いくら花の美しいものでも、その美しさを充分生かすととができない。そして葉は多い方がよい。葉付きの豊かな枝ならよく考えながらすかして、思い通りの姿にいけ上げる乙ともできるが、はじめから葉の少ないものは手の入れようがない。そんな場合他の椿の葉をそえて何とか形をつけなければならない。花はかわいいが葉が細長く小さい上K葉付きの少ないわ佑びす助りはいけにくく、反対に花はあまり好きではないが、葉の姿のよいのが乙女椿である。とくに生花の留を乙女椿で稽古してみると椿の基本的な使い方がよくわかる良い花材だといえる。椿の中には水揚げのよくないものもある。切り花として一般に出まわっているものは大体本をよく揚げるが、珍しい椿の中には案外弱いものがある。大神楽(清緋)は木では美しく牡丹咲に開花するが、切りとると首はほとんど聞かない。おそらく水を揚げないのだろう。いけ花として好まれる椿の多くは一重咲である。それはおそらく豊かなうるおいの感じられる花弁の美しさに椿特有の雄一品を見ることができるからであろう。とくに椿らしい雄蕊として筒蕊、閉とじ蕊しん、茶ちゃせ箆ん蕊しんが挙げられる。又絵画や工芸品に使われている椿も大体一重咲のようである。ありふれた薮椿が椿として最も好まれる理由もその辺にあるのだろう。エリカの花は美しいピンク色の小花だが細い小さな葉にうるおいがないので花のつき方の多いものをえらぷ。白椿とは変ったとりあわせだが豊かな緑の葉と、あっさりした白い花との配色はエリカにしっとりした落ちつきの感じられるいい作例ではないかと思う。コニ白紬広口花瓶9

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