テキスト1986
45/144

あらせいとうーνhvほくストックの和名は紫羅欄花と随分難しい漢字があてられている。ストックはイギリス名でジリフラワーともよばれており、詩や小説の中にはよくジリフラワーという名前で出てくる乙とも多い。油菜科に属するが四弁の花が十字形に聞くので以前は十字科ともよばれていて私も中学校でそう習ったのを憶えている。そして花を縦割りにしたり、輪切りにして分解し、花式図というものの存在を知ったのもその頃である。油菜科の植物には毎日のように出あっている。大根、蕪、白菜、キャベツ、水菜、小松菜、広島菜、杓子菜:::菜っ葉とよばれるものの殆どがその中に入ってしまう。ストックの色はクリーム色、白、ピンクから赤や紫に変化があり、それぞれやわらかなあたたかみのある花である。作例のような葉のよいものなら葉っきのままでいけるが、むしろ葉は殆どとり去って赤いパラ等をとりあわせてその葉でまとめる方が良い。作例では純白とクリーム色の対照もよかったのでアマリリスの葉をそえるだけのあっさりしたいけ花とした花材ストック(白・クリーム色)アマリリスの葉花器紫紬水盤ストック白木蓮が無傷のまま満開した。少しとすれただけで花弁に茶色い傷あとが残る。美しい花だけにその茶亀の染みがよく目立つ。今月号には春の花木と杜若のとりあわせとして、表紙の白木蓮、の桜の二作をいけてみた。表紙には花型としても、白木蓮の派手やかな開花がよさそうである。春先の花木は他の季節の花樹とちがって葉に先立って花の咲く落葉樹が多い。だから枝一杯の満開の花をいけるわけである。その点常緑の椿や騨闘の花を扱うのと少し趣がちがってくる。桃、桜、雪柳、木蓮、れ連んざ麹ょう、木はり瓜、他の多くの花木も花が咲き揃ったときには明るく派手でそれこそ陽春の色あいといえる。勿論草花にも春の色は共通しているが、枝物である強みは色彩とともに花却に変化がつけられる点であろう。左右へのひろがり、前後の奥行を色のある花でとるととができる。だから春の花木は椿の一輪挿しのような使い方でなく、もっと大ぷりでのびのびしたいけ方でその華麗さを生かしたい。又そえる緑は鮮かな若々しさのあるものがよい。花材白木蓮杜若花器暗緑柚水盤〈表紙の花3頁〉5

元のページ  ../index.html#45

このブックを見る