テキスト1986
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おいまつ父の書きの乙した昭和十年前後の新古川倒の記録を見ていると、引在稽古では殆ど使われていない老松がよくでてくる。老松とポインセチア、そ乙に聞の葉がそえられているという面白いとりあわせもある。松はいけ花にとって重要な花材であるというものの、一般Kはお正月か、いけ花展でたまに手にするぐらいだろう。とくに文人松(苔松)とよばれている最高級の老船は、昭和十年頃を境にだんだんと減少し、近頃よいものは滅多に入手できなくなってきた。その上松喰虫による被害や乱開発、公害のため松そのものが少なくなってきている。その点若松は花材用として大量に栽培されているので現布私達に最も身近な松だといえる。真直ぐに立ち仁がる姿と新鮮な料の初々しさは祝平にはうってつけの花材であろう。生命力の強い若松は長期間もつので制干の終ったあとは、とりあわせをかえていけなおしたい。五松は一般的には素直にのび上がった姿を生かしていけるものとされており、祝事にはその方がよいだろう。だが普段のいけ花とする場介生花のように長く直上させる必要はない。若松も最初の問は葉がしまっているが日がたつて水を充分に吸いあげると葉がひろがり、枝がすけて見老松4

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