テキスト1986
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一一月、京都の街は民冷えの中に沈みこんでしまう。日がかげってきたかな、と思っているうちに小雪が舞いおりてくる。うすら・%、ぃ通りを歩いていて、花屋の析の中にポピーやガベラ、アネモネ等のような彩り豊かな花が百本も−一百本も、大きな花筒一杯に溢れているのを見かけると、冷え冷えとした気分に防光がさしこんだみたいに暖かみがよみがえってくる。表紙にはアネモネを使ってみた。聖書にでてくる「野の百合」はアネモネのことだという説もあるそうだが、西洋文明とは古くから深いかかわりがあり観賞植物としての栽培の歴史は長い。日・口世紀のブランドル地方ルギー)はその時代の園芸の中心地だったので花の画家が多い。その代表者ブリユ|ゲルの画集を見ると多くの位類の花の中にアネモネも描かれている。植物学者の話によると、現在栽培されているアネモネの各色はすでにその頃揃っているそうである。ただその頃より花は大輪化し、表紙に使ったアネモネの花径はロセンチもある。作例は青紫色のパネルに茎の太さの穴を沢山あけ、下に水盤をおいて挿したものである。工夫次第でテーブル飾りにもなるし、壁掛のいけ花花のぬくもり(ベピポユーカの実花器黒色花瓶2

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