テキスト1986
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Hん山陽新聞筆者は江戸時代から続く桑原専慶流十四世家元。伝統の立華を伝える古格の人である一方、明るくのびやかなキャラクター。その桑原さんが自由人たる本領を発揮、京の暮らしの歳時記と食哲学を語り、得意の料理の腕をふるう。一月から月を追って台所のことを軸に、町屋のこと、祭リのこと、また趣味の推理小説や音楽についてつづった随筆五十制。やさしい感性と柔らかな筆づかいがしらずしらずにH桑原流。の存らし方の中読む者をに引き入れ、「家の昧を作り上げることが家政の融和と誇りを育てる」という著者の料理観へと導く。随筆に添えられた季節の献立五十極のハウツーは、和、洋、中の多岐にわたり、いずれも玄人はだしのデリケートな昧作りを特徴とする。文章、献立ともにいけばなで修制された技と心が息吹いている。巻末の、随筆家・岡部伊都子さんとの対談も、寄り添う花と味の神胞に迫って興味深い。「京都花ごころ昧ごころ」者者は桑原専慶流の家一見。古格を尊ぶ伝統の立花と、明るい現代花を指導している十凶世家冗だが、人柄はのびやかな白白人。料開にも造け心の室田日月お日月刊明日桑原仙渓若書く。者者のこの季節観照が、そのままい司令。いが深く、その本領を発揮したのが本書である。構成はまず京の歳時記十二ヵ月を柱に、各月のくらしと味を五十話、五十品展開していく趣向。しゃれた構成だが、著者は飾らない名文と料理の腕前で、楽しげにこなしている。文章が軟らかく美しい。二月・泊中洛外雪景色の項で、「一年は四季に分かれているとはいうものの、私には、真冬と真夏だけが確かな季節のように感じられる。(中略)一月の末から二月の中旬まで、この真冬を心に刻みつけておかないで、どうして今年一年季節を感じとりながら暮らしていけるものかと、京の雪と底冷えをじっくり満喫している」と生け花にも、料理にも裏打ちされて巻末に岡部伊都子さんとの対談が収められている。H婦人画報社、千三百円。京都花ごころ味ごころ桑原仙渓著華道桑原専慶流十四世家元・桑原仙渓さん(五九)H写真Hが「京都花ごころ昧ごころ」と題した本を書きました。ひまをみては花ばさみを包丁に持ちかえて作る料理のウテはプロ級の評価さえあります。サンケイ華道家元の味とエッセー日月1日土曜日本の内容は、京都に住む桑原さんならではの和風料理に、洋風や中華風の味を加えた五十口仰の紹介と、味にまつわるエッセーを主軸に、歳時記十二ヵ月などを収めています。桑原さんが料理を初めて作ったのはチャーハンで、小学校二年生のころ。男のイにもわけへだてなく何でもさせる母親のもとで、見ょう見まで作ったのがうまくできたのが面白くなり、以来、あちこちで食べた中でおいしかった味を再現。自然にレパートリーがひろがったようです。年末に家族の応援を待てつくる正Hお重。など四季折々の昧に、月の外国の推理小説に出てくるステーキパイ。とか、ポリネシアの友人が故郷をしのびながら教えてくれたかタギギ。(魚)のスープ々、谷崎潤一郎の『陰儲札前』を読んで知った吋の味U仰の諜ずしH:・とユニークな思い出料理もあり、理怨の味に向けての工夫と、作る楽しみが感じとれます。ご本人にいわせると出すのがプロの料理家とちがうところ」だそうですが、家庭で男性が思いつきで作る料理ともちがいます。作るとなったら、献立メモをもとに、買い物をし、包丁をとぎ、台所に立ったら片付けもしながら料理を一挙に仕上げていくベテラン。る料埋のかずかずは包丁のさえもみごとです。毎日新聞「料理もいけばなも、人柄のにじみでるのが共通点。根本はやさしい気持ちを持つこと。それによって、いい花がいけられ、いい料理が作られる」といっています。また、を通して京の風情がつやのある文章でつづられており、料理写真にそえた素子夫人の食卓の花もきわやかです。「京都花ごころ昧ごころ」出版華道・桑原専慶流家元の桑原仙渓ρビーフさんが花の心を知って欲しい、と本「京都花ごころ昧ごころ」を、婦人画報社(東京)から出版した。くらしの昧五十品とエッセー五十話を側出帆している。桑原さんは五年前、約三自年続く桑原専慶流十四世家元を継承、伝統の立花と明るくのびやかな現代花の伝授に努めてきた。料理の腕前も玄「何でも手を(くろうと)並みで、その腕を買われて昨年一年間、新聞にエッセーを書いた。本は、このエッセーに全面的に加筆、出版した。桑原家に代々伝わる正月のやベーコンとキャベツの「キャベツ煮込みL4、人H料理について材料の選びんから作り一ヤサレ共で田巻恭し」など、桑原さんの手作り方までを写真をまじえて利介。「歳時記」は、華道家の目華道家元の桑原さん「お重L「淀大艇のふろふきと小日月3日月曜日放送日ロ月泣日⑪また、エッセーでは、京の祭りや折々の花などを取り上げ、華道家からみた印象を語っている。末尾には、随筆家、阿部伊都千さんとの対談も。以上が各紙丙書評の記事である。私がこの本で述べているのは単なる料理の作り万ではなく、いけ花と、一家の暮らしの関連について、平素から考えていることを書いてみたのである。是非お読みいただいて、皆様のいけ花観を深める一助となればと願っている。食購読ご希望の五は家元宛、至急お申し込み下さい。残り少なくなりました。午前日時却分より日時までテーマ「正月の花をいける」今年のNHKの、お正月のいけ花は、桑原京fが初当し、あっさりした構成で、誰にでも親しみのもてる色の美しいお正月花、クリスマスの花を、数多くの小品をまじえて紹介いたします。桑原素子NHK婦人百科出演10

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