テキスト1986
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十月九日に発刊された「京都花ごころ味ごころ」は、新聞批評が大変良く、山大紙は勿論、地万紙にも大きくとりあげられている。私の予期した以上の好評なので、以下全文を利介してみよう。「花ごころ趣味の料理」華道桑原市中慶流家元、桑原仙浅さん(五九)H写真Hいか、昧ごころ」と題した本を出版した(婦人画報社、千三百円)。初めて料理を作ったのは小学校二年生、チャーハン。男の千にも何でも’H分でさせた母親のそばで、比ょうけ凡まねで党え、和洋中本をこなす。学校の昼休み、弁当がわりに家へ走ってい叩って食べたあつあつのなべ料理、体をこわして入院中に知人から伝技されたギョウザ、南の砧の友人が故郷をしのびながら作ってくれた魚料理など、思い山の昧や、京都の町に伝わる風押などを添えて、自慢の五十段が初介されている。現在は、二人の娘さんたちが一家の味を受け継いで、ともに台所に立つこともしばしばとか。「花も料理も、それを中心にして人が寄り添うことができる点では同じですよ」尽者F花ごころ味ごころ朝日新聞叩月お日木叫日「京都・花ごころ桑原仙渓著くらしと味の叩話回品讃責新聞叩月初日木曜日おいしいもの美しいものは心を開くいけ花家元桑原仙渓さん料理の随筆集を出版尽の秋は、時雨とともに川休まる。〈どこで出逢(あ)うかな、と家を出て、散りかけた紅葉の樺(けやき)並木の下を刷物園の入口に向かって歩いていると、案の定ここで北山時間がやってきた。バラバラッと降って、さっと風が吹くと、芝居の紙吹省のように緋槌(ひさめ)色の業が持い然ちる〉そんな季節、鹿児島から「亦回大士円」という小芋が届く。鹿児島は豚肉料理の感んなところだからという家肢の意見で、買い物に出かける。小川十と豚のパラ肉をじっくり煮込んで、出かいのっペい汁、それにシメジ飯をつけよう。生け花の桑原専慶流家元・桑原仙渓さん(五九)が、自分で作った四季の料理に随筆を織りまぜて寸京都花ごころ味ごころ」を出版した。婦人画報社刊、一三OO円。五十の料理と丘十の話、それに随筆家・阿部伊都子さんとの対談「花と味に寄り添う人のこころ」も収められている。「初めて料理をしたのは小学三年生のころ。神戸の中華料理店でチャーハンを食べて、あんなふうに作れへんやろかといったら、母親が自分で作ってごらん。やってみたら、えらいおいしくできた」と仙浅さん。「夫の妹と私は同級生で、中学生時分に遊びに行くと、料理がきれいなだけでなく、食の会話がすばらしかった。今晩どういうことを話そうかと、家族それぞれが考えている。へえと思いました。うちはお花ひと父(先代専浅さん)も厳しかったものですから、うらやましかった」とこれは安の素子さん。週に二回くらいは仙渓さんが台所に立つ。日叫日の朝早く起きて、ブレーンオムレツに各間のソlスを作って家族を起こしたり、冬になるとキャベツを丸ごと煮込んだり。自分でも数少ない完成品だと思っているのはH仙渓豆腐。。鵡もも肉を酒蒸しにして、その蒸し什を冷たいスープに仕立て、紺ごし一旦腐にたっぷり注ぐ。鵠のささ身、白ネギ、キュウリの細切り、針ショウガをのせ、いった白ゴマをかける。「男の料理は思いつきだけで、完成度が低いものですが、これだけはいつでも味が安定しているんです」。仙渓さんは生け花とは全く縁のない家に生まれ、父親の商事会社で働いていた。それが素子さんと結婚して、江戸・元禄時代から三百年続いた生け花の家元を継ぐことになったのだが、「この人が好きゃから結婚したい。結婚するのなら花をやってくれといわれて、ああそうですかと気軽に入ってしまったのですが」普通の人が十年かけて修業するのを、結婚前の半年でやってしまわねばならない。毎日仕事を終えてから、自分で花を買って、八時ごろから素子さん毛に行く。先代にこういうふうに生けるのだといわれても、なかなかできない。冬の実、ぃ夜だった。何度も生け直して、手のぬくみで水がぬるくなってしまったこともあった。「あんたは手先が器用ゃから」と励ましてくれた先代は、六年前に亡くなるまで、べるのを楽しみにしてくれた。「美しいもの、おいしいものを前にすると、人は心を聞く。そこに生まれる静かな語らい、気のつかい合い、人間どうしの結びつき。生活のあらゆる面でそういう感覚を育て、次の世代に伝えていくことが、いま、必要じゃないでしょうか」。そんな仙渓さんのころ々は、いま、長女の樫子さん・和則さん夫婦、それに二女のはなさんが受け継いでくれている。それを最大の喜びとし、誇りとしながら仙渓さんは、西本願寺の飾り花として発祥した立花(りっか)の重厚さに仙渓さんの手料理を食H花ごころ昧ご町衆のはなやかさを加えて、自分なりの花を完成させ、妻の素子さんと二人で今度は生け花の本を書きたいと願っている。日月日日月曜日桑原専慶流家−冗・桑原仙渓さんの「花ごころ味ごころ」が一冊の本になりました−桑原専慶流家元の桑原仙渓さんが井らしと味について語る「京都花ごころ味ごころ」が婦人画報社から出版された。一昨年名から一年間毎月附本紙ホiム闘で連載された「花ごころ味ごころ」を加筆制集したもの。婦人画報社刊定価二ニOO円京都新聞-f\ f/J,/ '.M e資、9

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