テキスト1986
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ヲ令。花材ストレリチア葡萄の葉花器紺色変型花器ストレリチアの花は、長い、しっかりした茎に支えられているが、その茎が目障りになることがある。花そのものは和名極楽鳥花というとおり、飛ぶ鳥のような動きが感じられるのに、茎があまりにもしっかりしすぎているので、その動きが太い柱に固定されてしまっている。もう少し茎が細ければ、と思いながらこの花器にあわせてこの高きにおきめてみた。両端の持った重い色の花器は、ストレリチアの花の形とも似通った感じがするので茎の太さもあまり気にならないまとまりがついたようであこの花器には、写真ではわからないと思うが、右下に小さな傷がある。それは、先代がごの花器を掛花いけに使いたいから、{八をあけてくれというので私があけた穴なのである。結局使わずじまいだったが、父は私に頼めば何でもやってもらえると信じこんでいたようで、随分変な仕事をよくさせられたものである。そして、私には納得の行かなくても、それをきっちり仕上げて渡すと嬉しそうな顔でそこに花をいけてくれていた。この花器はそんな想い出をひき出してくれる。ストレリチア4

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