テキスト1985
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しゆっしようわぱなグフジオフス白黄花器濃紺ガラス八角形水盤伝統生花の花材は有史以前から日本に自生していた植物、古い時代にりつ中国や朝鮮を経て渡来し、初期の立花以来扱い方の伝承がつみ重ねられてきたものである。いわゆる和柁と称されているものがそれに当る。一方江戸時代の末頃以降欧米から渡来した植物は洋花とよばれている。こちらの方は生花の花材としての歴史も浅く、例えば社若のように四季の扱いの変化、或いは「八つ橋いけ」というような故事にちなんだ挿法は考えられていない。だが生花である以上出生を無視していけることはできないのでその生態をよく観察し自然な姿を見きわめた上でいけられている。作例のグラジオラスは洋花の生花であるが、あやめ科に属する植物なので、花菖蒲や杜若の葉組に準じていけあげる。真には自然のままで程よく「く」の字型にまがったものを用い、そこにそえる葉は期間、控等短く使うものの花茎を折りとって茎付きの長い葉を二枚残して真の葉とする。以下副、胴、留、控には真の葉に対応する形で二枚或いは三枚の葉組をそえる。この作例では副の沈み、見越、留の沈みへも葉組を加え、花型に奥行を与えている。淡泊な色彩にガラス器を使った夏向きの生花である。生花の花材6

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