テキスト1985
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ゆずりは手もとにある「花の歳時記」という本を聞いてみると、一月の花は八種類しか記赦されていない。万年青、ひ日酔げ陰叩口小ず、らう裏らじ白ろ、黒松、南天、青木、交譲木、竹となっている。最も多いのが六月で五十三問、次が一h月で五十種υ洋花も勿論入っているο歳時記というからには向然状態での最刈の見頃をえらんでいるのだが人ハ凡の七分のかならない。そζで私達は花屋を通して多彩な花を山平常に子にいれ、部尾の中にうるおいを術たしているがそれは凶芸技術の進少のお陛なのである。神奈川県の丹沢山の麓にいた頃、広々したま畑の一部にポピlが植えられていたu卜坪ぐらいの広さだったが四片の中頃明るい陽光の一品原で、白、クリーム、黄、オレンジ、朱と一斉に開花しはじめた光景を御想像いただきたい。当時療養中だった私は毎日そこへ出かけて寝乙ろがって本を読んでいた。やわらかく霞んだ空、青々したビール麦の穂、暖かくてやわらかい草むらの感触と共K乙の花を知った。はじめてポピーに出会ったその時以来私には明るく、優しく暖かい花である。数少ない一月の向然の花材に彩りを加え、より私達を楽しませてくれているのが祖室栽培の花速である。家の中に入れば明るい花に外の寒さを忘れ、疲れをしずめて気分もやすまる。栽培植物にばかりとりか乙まれていると、人々は自然な季節感を失ってしまうかもしれない。実際私達が花屋から買う花の多くは本来の開花期よりうんAポピと早咲きさせたものである。そのような花の木内の開花期の空気の肌ざわり、周囲の風景を恕いうかべる乙とができたら花をいける存びはもっともっと大きくなるに違いないだろう。すべての花についてそんな知識を持つことはできないだろうが、その月の花を三っか四つよく知っているだけでもいい。その花の咲くのを待つ心は大切である。一にしポピlは茎が細長くて投入れにするとブラプラいけにくい。花瓶の底に小さな剣山をしずめて直立させたり斜に出したり、無雑作にいけたという感じをもたせたいυ花材ポピl・モンステラ花器色絵水さし−向山表紙のいけ花お疋月の花糾として金色や銀色に塗られた柳をよく見かけるο柳は別にそんな加士をしなくても美しいものである。考えようによっては、ただそのままの状態でさえ花をいけるのは難しいのに、わざわざ色をつけて余計に難しくする必要はないともいえそうである。暮に寒牡丹が手花入ればとんな花もお正月の床の間にいけてみたい。苔梅、枝垂柳がお正月を演出し、牡丹で豊かな気持をふくらませてくれる。客間の床飾りにふさわしい一瓶である。花材苔梅花器花台枝垂柳牡丹(白・桃色)褐色紬花瓶紫檀卓4

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