テキスト1985
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山梨白菊印花器茶色粕花瓶いけ花を習っていると時々何かの席に花をいけてほしいと頼まれる乙とがよくある。少し大きないけ花になると自分の先生に相談するのが一番いいが、大ていの場代花瓶が使われ、投入れになる。その場合の基本的な条件をあげてみると、まず水揚げの良い花材をえらぶこと。ふだんいけているより幾分予算も多いだろうが、だからといっていけた乙ともない変った高価な花を使う必要はない。充分扱いなれた花材を手際よくいけた方がずっと夫しい。次に大きくなると形のつかみ方がわからなくなるおそれがあるが、その場合花材の形をよく見定めて基本花型の中からよくあいそうなものをえらび、それに忠実にいけて行けばよい。とりあわせはまず主材と副材の二種類だけをはっきりときめる。あまり難しい配色はさける。その主材と副材の配置を大体頭の中できめ、その配色や花刑を乙わさないような第三和目の花をえらぷ。その量一はあまり多くなくてよい。以上が初心者、或いは中級向に考えられる少し大きいいけ花をいける時の注意事項だが、作例は高さが一。一メートル、とりあわせは山梨と白菊二府だけの斜体副主型である。向と縦だけのシンプルな配色だが季節向きのいけやすい投入である。テキストの表紙はカラl印刷になったが、それ以前のモノクロ印刷でも随分改良を重ねてきたのをお気付きだろうか。私がテキストを作るようになったのは昭和五十五年の八月からだったが、それまでの写真は黒白のコントラストが強すぎて黒いととろはベタ一面真黒で、例えば菊の葉のような濃緑色はまるで影絵を見るようで一枚一枚の配置が判然とせず大よその輪郭だけしかわからなかった。どうも具合が悪いのでコントラストの強くない写真を使ってみたところ昭和五十六年の五月号から七月号の表紙のようなボヤけた印刷になってしまった。その問写真担wlの小西さんに印刷の製版屋に行ってもらって色々問いあわせたり撮影用のライトを変えてもみたが満足な結果は得られなかった。何度も試行錯誤をくりかえした結果製版方法をかえてみようということで昭和五十六年の八月号からようやく満足のできるいけ花写真を掲載する乙とができるようになった。昭和三十七年に父が創刊し、私がうけついできたが、印刷に関してはずっと西湖堂印刷の伊藤さんが受持って下さっている。その二十数年の想い出を書いていただければとお願いしている。(仙渓)局。9

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