テキスト1985
52/144

十ム・4るζとができるのもいけ花の面白さbH1からようつつじんにゃく黒くろ海かゅ芋うこの花は靖菊の花によく似て吹山楼里桜若晩春山道を歩いていると谷川沿いの木蔭に山吹の花がそよ風にゆれているのをみかける。足をとめて暫らく休みたくなるような場所である。山吹は万葉集にもよく詠まれている日本人好みの花である。幸田露伴は「やまぶきは唐か・りめかぬ花なり。」と言っている。唐めいた花とは濃厚で美しすぎるほど美しいという意味だろう。強い赤紫や牡丹色の大輸の牡丹が唐様を代表する花である。社若と山吹は開花期が同じであるのと、流れの中、その上の斜面と近よって咲くのでとりあわせとしては全く自然調といえる。配色としても山吹色とよばれる輝く黄色、その花を布にこすりつけて染めたといわれる杜若の深く落着きのある紫色とは見事な対応をみせる。その二種に遅咲きの里桜をそえてみると大和絵風ないけ花となる。よくみかけるとりあわせではあるがくりかえしいけて倦きない。このようないけ花で注意したい点は校数はひかえめにして生い茂った暑苦しい感じにならないようにする乙とである。そしてなるべく季節の近いもの同志を使いたい。山吹と杜若に蹴聞をあっさりそえてみるのが季節に最も忠実ないけ方なのかもしれないが、多少前後するものをいけあわせて何となく自然な感じを与えの一つであろう。Hソ瓜をいけ根じめに使ったが曹のうち花柱(肉穂花序〉が黒く、仏ぷつ炎えん萄措うは暗紫色である。両者の違いは葉で商弱は葉柄が頂端で三裂しさらに羽状の小葉をつけま抜むし草ぐさや浦島草と同様であるが、黒海芋は一木の茎に海芋や里芋と同形の大きなハlト形の葉がでる。正確な学名や品種名は現在私の使っている植物辞典に記載されていないのでわからないが黒海芋とよんでも間違いはなさそうである。との花は今年の華道京展に竹、4Fは仏炎萄が固く巻いていて、柱は先の方がその聞からわずかしかのぞいていない。いけてから二、三日すると仏炎萄の内側が緑色から暗紫色に変色しながら聞きはじめる。だから水揚げに注意して四日目か五日自に開花した時に黒海芋の美しさがあらわれる。花の高さは剖糎ぐらいで花のすぐ上に大きな葉がかぶさるので花だけをいけた方がいいようである。とりあわせる花の色は明るく鮮やかなものが仏炎琶の暗紫色に対して効果的である。作例のようにグロリみるのも一方法であろう。花材H黒海芋グロリオlサオlサを花だけにしてとりあわせて花器UH青磁角鉢宮永理土ロ作〈表紙の花〉黒い花花器灰色和1角型水盤2

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る