テキスト1985
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白どかすわえゃに白桃紅椿花器黒漆塗八角花瓶桃の生花で大切なのは枝の線のやわらかな優美さである。太い枝から分かれ出る小枝は根もとのあたりで弧をえがきながら先端K行くにしたがって真直ぐにのび上がって行く。その松もとのあたりの曲線が桃の枝の特長のようである。だから副や制等を撰めて形をつける場合その曲線をよく頭にいれておき技巧(擦め方)が過ぎないように気をつけなければならないο古い花道書にも自然の枝ぶりをぷ直に・つつしとるのが桃の美しさを表現する近道であると教えている。生花での桃の扱い方を伝芹から拾い山してみると、まず梅とまぎらわしい姿にならないよう、それにはのびのびした枝を用いる。太い幹をきらっているが、桃の幹は小さな傷からも脂がふき山ていて見苦しい上にその力強さが桃の優しい美しさをそ乙なうとされている。又とりあわせのむずかしい花材であるとも書きのこされており、二種いけよりも一柿いけの方がいけょいといわれる。昔から菜の花がよくとりあわせられているが、時には著衰の葉、或いは背麦も用いられている。との作例では紅椿をそえてみたが、白い桃の花との対照は美しく、そして緑の葉がこの二色をくっきりと浮かび上がらせている。椿の枝ぷりは軽やかな曲線のあると乙ろをえらんで枝どりし、桃と調子をあわせている。色彩を楽しむいけ方としては紅白いけも伝えられている。白桃を高く、緋桃を低く使うこととされているが長閑な雛の節句に挿してみたいとりあわせである。テキストその他の作例での桃の生花はおとなしい行型、或いは草型では間流しの一種挿にされたものが多いようだが、乙乙では副流しとまでは行かないが副は素直な楚ばかりをのびやかにやわらかみをもたせてふくらませ、真、真回、見越の枝先は分かれ枝をとりあわせて桃の自然の姿が感じられるようにいけてみた。雛人形の前に飾るには少々派手な花型かもしれない。自分の家の雛段の作いとあわせて花型を考えていただきたいと問今っ。6

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