テキスト1985
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よくくれない錦木県縮し真留煤竹寸筒けやき巴し会ぎ十月の下旬になると、京都の植物園の入口に向かう樺の並木の間に錦木が紅葉する。ルほどのものだが枝のひろがりは4メートルほどのものだろうか。その冴えた紅は命名の由来とされる錦の布より美しい。錦木は花材としては多用されるありふれたものだが新緑の頃から初秋までは葉が多すぎて形のいいものではない。紅葉し赤い小粒の実がつく頃が最も美しいがその期間は短い。落葉後小枝についた四稜のコルク質の翼をつけた形に独特の面白みがあるのでそれを生かして少し趣の変ったいけ花児用いられたりする。生花の花材としては枝に粘りがあって擁めやすく色々な形を自在に作れるので初心者にも適している。青葉のついている頃は葉を充分にすかして枝の線を見せるが撰める際コルク質の翼を折らないように気をつける。作例は紅葉前の錦木なので葉をすかして使っているが、紅葉すれば葉はほとんどとる必要がない。又青葉の問は型を羽内向するための料古として一種挿しでもよいが、紅葉した季節にはその美しい色をひきたてるため南側に白い小菊や黄色の中輪菊をとりあわせたりするとよい。作例の花型は真を長くとり、中心線より右に枝先をのばした真流しであるが枝先は細く軽い枝を用いる。一口同さは2メート'~ 7

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