テキスト1985
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A’・f’苧た〈〉花器横に子たくひろがる満作の校四本を前後に却センチぐらいずつ問をあけて重ねあわせるように立ててみると葉が全部正面を向く。後に緑を、前面によく色付いたものを配置すると色彩の対照の上からも’奥行が深く見える。それを土台にして表紙には木瓜を、この頁には白い糸菊をとりあわせてみどちらも甲乙のつけ難いできばえなのだが、よくまとまっているのは白糸菊をとりあわせた方、生き生きした躍動感に溢れているのは木瓜をとりあわせた表紙の作例の方だろうと思う。ここで一つ提言しておきたいのは、主材でしっかり土台を作っておけばあとからつけ加えるとりあわせによってそのいけ花の感じを相当大きく変え得るということである。とくにいけ花展でのいけこみの牒両隣或いは会場全体の傾向を敏速に感じとり予定していた作風を訂正するだけの余裕をもっておくべきである。いけ花展に必要なのはそのような柔軟性でありそれが会場にゆとりとうるおいをもたらすのである。そこは優劣を競いあう場というよりも、お互いがじっくり磨きをかけた人柄を花を介して語りあう場といっていいだろう。私自身の生き方がそのいけ花にあらわれると思うと自戒すべきことの多い近頃である。花材満作紅葉木瓜||表紙白糸菊112頁灰白色手付花瓶表紙の花2

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