テキスト1985
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開け放された縁側から銀木犀の香が漂ってくる。濃い緑の聞には山茶花のかわいい紅の蓄が聞きはじめる。朝夕の心地よい冷気、じっと机の前に何時間でも座っていられそうな季節である。とはいうものの生来勉強嫌いの私がそう長くは机の前にいられる訳がない。何か用事のあるような顔をしてその辺をぶらついてくるのだが行先は本屋か文房具屋、そして錦小路をぬけてくるぐらいのものである。京都には古い店屋も多い。そんな店の飾り窓には品物がと置かれているだけで、それよりも店主がいけたのかなと思われる季節の花がかえって人目をひく。上手にいけられているのもあるが下手なのは下手なりに店主の人柄に好感がもてる。そんな店の品物なら安心して使えそうな気持にもなる。地味な色合いの秋草をひっそり床の間に飾ってもそれほど人目はひかないだろうがそこに遇された人は必ず落着いた一刻を貴重なもてなしと感じるに違いない。自分の気持を素直に気取らずいけてみたいものであ花器焼締め水盤ル八1f 一、二点そっが百『〜、草ォ鉄龍1桔舎線謄f梗;ス出。/ イ中夏2刈2杜2播2萱1:鵠S

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