テキスト1985
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はんしよう鉄線りんどう白竜胆鉄粕花瓶あ吋びつるりんど弓あ吋び山道を散歩していて木通に気付くのは秋になって熟した実が紫がかった色をおびはじめる頃である。口にふくむと甘味があり、若葉も食べられるというから昔の山村では大切な山の幸だったにちがいない。木通をいけるのは実が大きくなりはじめた頃からで軟かい蔓がからみついた枝をそのまま支柱にして形を作るか、他の適当な形の校にからみつかせて重い実を支える。作例では苔梅の枝を真と副のわかれ目までそえ、そ乙から真も副も蔓のまま自然忙なびく方向にふり山しているο鉄線はピンクの小輪で、花の形は鉄線というより半鐘吏に似ている。総囲いのあたりから胴の下にかけて彩りをそえるため変則的な使い方をしているが留の’円竜胆と共に良い配色である。野趣に溢れる主材に対しては上品な栽培種の花材をとりあわせてみるとその持味がひき立ってくるυ野山で採集した花ばかりを一緒にいけた方が風情がよく山そうな感じがするが、実際にはうらさびれた貧相ないけ花になってしまう乙とが多い。本通は春に花の咲く頃、或いは冬に葉も実も落した蔓がたまに使われることもあるが、やはり実のなっている時以外は大して特徴のある花材ではない。二、三個の実をうまく垂れ下らせた掛花に秋草を少量そえた投入に秋の山路の風趣を求めたい花材であろう。花材木通木通あけび9 F】+イ日巴者品H

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