テキスト1984
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倉敷の上野淳泉先生の御指導で、毎月一回流技会という立花の研究会が行なわれている。去年の夏に見学させていただいたが、立花を立てるのを楽しんでおられるのを見てとても羨ましく思えたのを覚えている。以来一年、念願かなって六月の流枝会に参加してまいりましたので、その様子を報告します。六月三日午前五時に皆さんと一緒に河骨を採りに出発すると乙ろから流枝会は始まりました。今凶は大崎大湖氏の担当で、河骨池へ行き自ら立花の材料を得てくるという趣向になっていましたu場所は倉敷市街から南へ車で半時間程行った、下出井港の少し手前に位置しています。この日は朝から曇り空で、乙れが河骨を採るには好都合でしたω市十には池へ降りるための梯子や、ゴム長靴・鎌・川崎吹き・雨ガッパ等が用意されていました。⑤の写真はその時に撮った物です。意外と水が多くてかなり苦労されていたようです。開葉・巻葉そして大葉・小葉とそれぞれ数本ずつ採ってゆき最後に花もいろいろな状態のを何本か集めておきます。一つの立花の中にいろんな景色が入るように、採集の時点から気を配っておかねばなりません。そうして集めた河骨に一度充分話を吹いてから持ち帰ります。上野先生宅で朝御飯を戴き、いよいよ立花を立てにかかります。まずは下ごしらえ。花器花作った込み葉を用意し、竹の節を利用した受簡を垂直に立てます。次に採ってきた河骨は、霧吹きの先を取り換えたもので根元の方から水を送り込んでやります。乙れが不思議と人るもので、葉の裏側を見ていると葉の末端まで水が入ってゆく様子がわかります。乙うしておくのとおかないのとでは持ちが全然違います。巻集や花にもしっかり水をゃれたところで立・制の順番で一品いとζろの役枝から入れてゆきます。下の方から真横に出てゆく流枝や控を入れるには必ず針金を入れておかないと撰められません。立花を立てる場合乙ういった下どしらえが大変のように見えますがそれをいかに苦にせずやれるかが上述の第一段階のように思います。実際向分であれ乙れ考えながらいけていると、とても架しいものです。なんとか昼にはいけあがり、7瓶の河骨一色の立花と、他に3瓶の社若一色の立花を前に立花談義に花を咲かせました。最後にも覚えて帰らりょ』、と言われるのでお願いすると、なんと上野・大崎両先生の実演により僅か一時間で立てて見せて下さいました。本当に得るところの多い一日でした。お世話になった会の皆様や前日から泊めていただいた上野先生夫妻に感謝し、報告を終わります。(和則)『杜若の立花

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