テキスト1984
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みaむの十二月に入るとアイリスも沢山出まわりはじめる。だからお正月のいけ花にアイリスがとりあわせられる乙とも多い。だが大抵は副材として目立たぬ使い方をしているようであそ乙でこの作例ではアイリスを主材としてどんな使い方ができるかということを示してみた。使った七本のアイリスの色は白。これを広い水盤に剣山を四コ使って林立させる。そしてその広くあいた足もとを短く切った千両でうずめる。アイリスの後にも一本そえて奥行をつけただけの簡単ないけ方であいけ花にお正月らしい零囲気を与えるのに最も手近な花材といえば千両が一番であろうυ迎春用以外にほとんど使う乙とがなく、伝承的Kそス千両朱塗乙のとりあわせの特徴の一つは花うなってしまっているので、何かに千両をつけておけば見る人は自然にお正月を感じてしまう。器に用いた朱塗の篭であるυ日本情緒を演出し、そして可愛らしさがあるので若いお嬢さんのある家の床の間に飾りたいいけ花であるο暮の忙しさの合間をぬってお正月の花をいけなければならないが、豪華さよりも自分の家の雰囲気を充分反映させたものでありたい。この二作を参考に皆さんの御正月の花のとりあわせを考えていただきたい。るν嫌な乙とも多い。だが四季折々句に花菖蒲をいけているのもいいものである。楓、山梨、七なな竃かまとど新緑のいけ花にか乙まれる。好きな鉄線が一番美しく感じられる季節である。庭の牡丹は今年何輪咲くかなと心待ちする。笹百合がだんだん少なくなってきたのは淋しいが梅雨の中の紫陽花のぼってりした姿は物憂いい美しさがある。祇園祭りには桧一厨を扉風の前に飾られ、為朝百合の強い芳香があけはなされた部屋から部屋へと風に運ばれる。お盆になる前に必ず一度皆で蓮をいける。誰のが一番よく保っか見守りながら一日過ごしてしまう。此頃お月見に薄を供えたζとはないが、秋の七草は何と何でしたかと何回かたずねられるυ彼岸花の咲くのは私の誕生日の頃である。運動会シーズンには鶏頭の大きなのをよくいけるω実物が多くなり柿の色がよくなってくるじ水仙が早く手に入らないか、白椿の初花を待つ。紅葉を楽しみ、菊の香りを満喫している聞に花市場ではお正月用の松の市や梅の市が立つ。そして例年通り十二月二十八日にお正月花の稽古を終えて、二十九日から私の家のお正月を迎える準備にかかるυ一年の聞には色々なことが起きの風物を思い返してみると私達はどんなに美しいものにとり固まれて暮らしているかと改めて感謝したい。~ L乱イアマ。。花器フ。。5

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