テキスト1984
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しぐれやまぼくち@庭の板屋楓が少し色付きかけてきた。春の若葉の頃から季節の移り変りを告げながら、時には料理の盛り付けに葉をとられたり、私の花材の足しに切られたりしているうちに晩秋を迎えて落葉して行く。楓が紅葉しかけたときの浅い朱色と、木瓜の深紅の色は明るく澄んだ秋空に映えあって秋も更けてきたのを感じさせる。そんな季節の楓には裏生りのような貧弱な実のついた木爪の細枝をとりあわせたい。そこにもう一種香りの高い菊がそえられると、そろそろ北山が時雨始める京都の晩秋を想わせるような、少し寂しいが静かでしっとりしたいけ花となる。ぼけ@テキストの写真をとったあと家のあちこちに飾っておいて稽古に来られた方に見ていただいている。そして飾りきれなかった花は残り枝と一緒に小品花にして居間におく。乙の花と9頁下段のがそうである。アンスリュlムは淡いピンクでみずみずしい。山火ハの乾いた褐色ととりあわせてみると、そのみずみずしさが対照的で一層うるおいを増す。以前多かった真赤なセルロイドのようなアンスリュlムとちがって最近よく見るピンクや緑色のまじったおばけアンスは色調もやわらかく、とりあわせる花も選びやすくなった。小さなアンスリュlムの濃淡をあわせて問問の小品花にしたい。ふ瓜木板屋楓紅葉菊(ピンク〉花器白磁花瓶?ンスリューム口火山花器白細口花瓶8

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