テキスト1984
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いきづ京都の加茂川べりには色んな草が茂っている。野生のもあれば、誰かが業しみに植えたものもある。以前山町のあたりに立葵が植えられていて、初心具から門くの問迫るのが楽しみだった。近一凶でも誰かが植え続けているのだろうかο堀川は埋め立てが進んでいるが、柳の根もとに泊りの向いの人の好みで花が色々咲いていたν思いがけないほど見事な鶏頭や向H英をよく見かけたものであるν都市計画に従って弊然と植えこまれた立派な街路樹や花山.もいいが、人々が勝手に咲かせた花が、川の辿慮もなく町並を彩っているのは、比川が町を自分のものとして作いき什.きと暮らしているという実感があって、優しい気持がうかがえて見る人の心にうるおいをあたえてくれる。乙のえ狗の乙尾ろぐ草さも加茂川堤にはえていたものである。切ってすぐにいけたので水揚げもよく、大きな花瓶にざつくりと挿してみると、身近に京都という部会にも野の向然が息衝いていることが感じられる。そのような風情を・つつしとる意味で咲きみだれた感じにコスモスをとりあわせ、雑然とからみあった乙くわ廷をそえてみると、加茂川べりの空地の一隅を思わせるようないけ花になる。涼しくなりはじめた九月、初タの散歩の途中のんびりと色んな風景を眺めておきたいものであるuv8

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