テキスト1983
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花器梓の会に頼んだ杜若を、城陽の長池までとりに行ったついでに見事に咲いた花菖蒲もとってきた。丁度切花用に栽培されている白花の初霜や紫花の早生桔の花菖蒲が終り、畑の持主が趣味で育てている本季の花菖蒲が咲き始めていた。詳しい品種名は知らないが、三英咲、六英咲、色も白、ピンク、淡紫、絞り、濃紫、赤紫と畑は華やかに彩られている。畑の主人の森さんに頼んで切ってもらったのがζの花菖蒲である。手桶にいけるというより、投げ乙んだように挿して写真をとった。そのあと残りの花菖蒲を全部ほうりとんで次から次へと咲くのを飽きずに毎日眺めている。今日で一週間になるが、全部二度ずつ聞き、まだ苦が五、六本残っている。廿旧府で端午の節句を祝っていた頃には、とんな様々な花菖蒲を五月人形の前に飾っていたのであろう。新暦になってすべてが一月早くなり、現代の端午の節句は早生種の貧弱な花宮北川でしか祝えないのは少し侶しいような気がする。花菖油をいけながら柿にあった杜若を挿し加え花菖蒲の葉の聞からのぞかせてみたが、花菖蒲の華麗な美しさとの追いがよく分かる。長池の辺は木作川に近いせいか適温の井戸水が豊富で杜若や海芋の栽培が盛んで関西での大産地として知られている。その他花蓮、河骨、太閤咋もあち乙ちにぷ供されていて、水辺の花なら何でもありそうな所である。杜若は春の花が終り初夏の花の告はまだ大きくなかったが河骨のよくしまったのが花を聞きはじめている。だから社おの立花の前置に河骨を使うのは、初一去の凶からという乙とになるのであろう。花菖蒲は方々の公閑や植物刷、京都なら平安神宮等で手近に見られる花ではあるが、好きなのを切ってもらえる所が少ないのが残念である。白木手柿花菖蒲. 杜若5

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