テキスト1983
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桜簸椿花器僧しらζ灰青勅花瓶一一月の初旬に里桜と思える桜が花屋に出ていたのでいけてみた。品種名を聞くと伊勢桜というととだったが、伊勢には白子の不ふだ断んさ桜くらという有名な桜があって、盛夏を除き年中花が咲き、寒中でも花があり、その上若葉が絶えず出るという珍しいものである。或いはその桜かも知れないが定かではない。三月中にいける桜は彼岸肢が主であるが、いずれも里桜のように枝は太くない。細い枝を何本もさばくのは大変な手間だが、いけ上がってから満聞になるのを待つのは楽しい。里桜の生花では満聞になっても一房のようなかたまりが一て咲く。だから大木の桜の雲のような感じは出ないが、咲くまでは枯かれし柴ばのような彼岸桜の方は細枝についた花が群がって咲き始めると生花全体がピンクの雲のかたまりになっていかにも桜らしい。桜には古くから日本人に親しまれている故もあって経験上その出生の約束事も数多い。代表的な約束は桜は下の方から咲きはじめるというζとである。だから初花の頃は上部に苦を使い、下部に開花をもってくる。盛季には上部に開花、下部には葉の出はじめたのを用いる乙とになっているが一把の桜からではそうも行かないが、心得として記憶しておいてほしい。つ一つ離れ留流し.〈〉6 ~-/~’‘

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