テキスト1983
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簸椿・アイリス花器黒地刻線文コンポート白木蓮は中国原産。辛ζぷ夷しは日本が原産である。白木蓮に対して紫木蓮は膏の聞は紫に近い暗赤色だが開花すると赤といった方がいいようである。更紗木蓮といって外側が淡紅色、内面が白い花の咲く品種もあるがきれいな花である。木蓮の中で最も美しいとされているのはマグノリア・ソウランギアナという品種で花の直径は日仰にもなり外側はうすいピンクである。日本にも栽培されているので何とか庭に植えたいと思っている。木蓮は大木の枝からとったものは花のつきがバラバラで、あっちに一倫、乙っちに一輪と、とりとめのない枝ぶりなので、花は小さくてもかたまってついたものでないといけにくい。花屋で束になっている時には随分花をつけているように見えるが、ほどいてみると案外花の少ないものである。生花にも木蓮はいけるが、折れやすい枝を苦労していけ上げても見た目にはそれ程良い姿にならないのが普通である。それよりも投入、盛花で美しい色彩で楽しむのに向いた花である。乙の作例では真赤な薮椿とアイリスをとりあわせ、花器は大ぷりな黒いコンポートを使って、ゆったりしたいけ花にしてみた。コンポートには砂利をしき剣山をのせてから木蓮をいけはじめる。木蓮の花が上になるように配置してから薮椿を中段位から白木蓮の色と対照させるように見せる。下段は椿の葉をたっぷり使って花器の縁をおさめる。アイリスは最後に、木蓮の枝の後に見え隠れに挿すと紫色が遠自に見えて、広い奥行ができる。辛夷も木蓮科に属し、花材としても用いられているが、稽古材料としては木蓮程一般的ではない。花が木蓮よりずっと小型で花のつきは多い。これからの木蓮や辛夷の開花期には、京都近辺なら鳴滝や広沢の池のあたりの、植木屋の附践に種類が多い。大抵両方一緒にかためて植えられているので見くらべるのに便利である。その上売物の故か手入れもよく、植物園で見るよりも花が美しい。京都の街はそんな点でも便利な部会である。白木蓮5

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