テキスト1983
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uuとd寒木瓜は十月頃気温が下がってくると咲きはじめ、次々と春まで咲き続ける。冬の花木の中でもその明かるく華やかな濃緋色が目立−ち色んな様式のいけ花に多用されているu投入や盛花に使うとしても、木瓜の花自体の色が強いので、他の花をとりあわせず、緑の葉をそえるだけで充分な花材でもあるν乙の作例でも形をはっきりさせるために梅の苔枝をそえ、あとはアロカシアをそえただけで色も明かるくまとまりをみせる。桜や栴と似たような花でありながらそんないけ方で力強さが友現できるのが木瓜の特徴でもあるくにいけ花展の場作には太さが3センチほどある木瓜を林立させれば他の花をとりあわせる必要は全くないほどである。良い作例として今年の一一月号の表紙に京子のいけた木瓜と竹の根の投入があるので参照していただきたい。寒木瓜の力強さの季節をこえ穴表現と共に、山はじめた水仙や悲菊咋と共に細枝に花と一新花実をつけた木瓜を水盤に優しく盛るのも初冬らしい風情のいけ花である(花材)木瓜・アロカシア梅高木(花器)萩焼花瓶自分のいけた花を写生してみると、その花についての知識がどれ程良い加減なものであったか思い知らされるuいつも手にしている花でさえ花弁の数は何枚で、葉の出方、形、枝の分かれ具合を突然質問されたなら、私には正確に答えられる自信はない。一つの花の姿をよく知るためには写生してみるのが一番良い方法であろう花を前において、紙にその姿を正確にうつしとろうと手を動かすことで自然とその観察は深まるω写真の方が正確な画保を得られるとしても、それはただ操然と花を眺めてみただけの乙とと変りがない。細かく手を動かしてこそはじめて頭の中にはっきりその花の姿がきざみこまれるのである。私のいけ花の絵には花が正確に描かれていると同時に花型も正しく描かれていなければならないυそのため何月のテキストや、生花の研修会のテキストには川ミリの製図用のペンを使って描いているが、欠点は、情緒がないという乙とであるυその点江戸時代の木版画のいけ花図には同じような線画であっても風情の感じらねるものを見るζとがある。正しく描いた上に、絵としても良いものをと願っているがそうなるのはまだまだ先のととだろう。寒木瓜花の写生10

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