テキスト1983
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花器オレンジ色コンポートこの花器は濃いオレンジ・イエロー、大抵の花を・つけつけない色、悼ので敬遠しているが、とのとりあわせなら使えるようである。白い海芋を主体に霞草を散らし、足もとにクリーム色の崖斑の入ったクロトンを使っているので、どの色も柔かく花器の色と対応しているυ海芋は毎回言っていることだが、茎を見せたい花であるuアマリリスの主と似ているが、それよりもずっと美しい。国鉄の奈良線で宇治を過ぎると所々に侮芋を栽培しているビニールハウスが自につくが、その辺が関西で代表的な海芋の産地の長池であるοいけ花展の時には花フジさんが一木ずつ選んで切って来てくれるが、長さは一メートル以上あり、北もニ0センチはあるυそんな海芋だと一度に二十本位気持よく人ってしまうο水の盟かな長池では壮若もれ山作られており、関西の主産地であるが、近年周辺の宅地化が進んでいるので、乙の先何となく私達への杜若の供給も心細いような気がする。栽培植物にしてもそうなの、だから、向然の忠みによってのみ手にすることができた古木の一枝も益々貴重になりつつある。それは花に限らず食味の世界でも大きな変化が起こっている川んである。とくに日本料理に関しては、昔と閉じ味の魚はもういなくなってしまったのではないかと思う。私の子供の頃は芦屋や甲子園の浜は奇麗な砂浜だったし、舞子辺まで行けば海水は透きとおっていた。現在では明石海峡を過ぎても水は、どろんと削っている。そんな海に昔と同じ味の魚が居る訳がない。財人雑誌等の料理相介欄に目を通すと、知らない文筆家が方々の料理屋の名人芸を讃め上げているが、私自身子供の頃の魚の味を忘れてしまった現在、そんな店で魚を食べた処でちっとも感激出来なくなってしまっている。明石の鯛と鳴門の鯛、吉野川の鮎と長良川の鮎の味の微妙な追いが分かるような楽しみが日本料理を味わうということに違いない。だが今のような時代になっても私達日本人は物の素朴な味に大きな執着をもっている。子けの世界、自の世界、耳の世界で絶えず自然なものを求めている聞は必ずそれをとり戻す努力がなされていると信じたい。海芋クロトン居中堅早G

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