テキスト1982
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花器煤竹寸筒擬宝珠は初夏の生花として、又当流の葉組物七種伝の一つとして欠く乙とのできない花である。(さじぎぼし)」で、もう一種「玉響(たまのかんざし」というのがある。匙擬宝珠の方は花は葉より低いが、玉替の方は花が葉より高く育つ。そして向かい合った葉の聞から花が出てくるので、その姿をとりいれていけ上げるのが原別である。上図では花を三本、真、副、留に用い葉は九枚を真、真岡、見越、副、胴、胴の沈み、留、控、総固に挿している。花を挿す位置は上図のように真、副、留に用いるか、真、胴、留にしてもよいが、出生に従って花は葉の真中から出して、前後左右から葉で花を抱くような感じをもたせたい。葉は最大のものを真に、花茎と葉柄がよく添うように一緒に撰めるとよい。真よりやや小さい葉を副に。留はしっかりしていて少し癖のあるものがよい。真、副、留の三葉がその生花の形を決定するから最初から選んでおいてほしい。特に留の葉が小さいと胴や総聞とつながったように見えて、しまりのない花型となる。私達が擬宝珠とよんでいるものには前述の二種あると書いたが植物分類学上でもタマノカンザシ亜属とオオパギボウシ亜属に分かれている。タマノカンザシの方は葉は黄緑色で表裏ともに光沢があり、花茎は葉を高くぬいて育つ。地擬宝珠と称しているのはトウギボウシの一種らしく京都の庭などによく見かける。葉色は表面は暗緑色で裏面は青色い粉を被っている。そして葉の表面がこまかくくぼみ、花茎は大抵葉より一角くなることがなく、玉替や大葉擬宝珠のように高くのび上がらない。他Kも多くの品種があって中々見分けがつき難いが、それを少しずつ覚えて行くのも花をいける楽しみの一っと言えるだろう。乙ζK作例として掲載した擬宝珠は「匙擬宝珠擬宝珠6

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