テキスト1982
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会場に入った途端、花をいける私達の喜びが人を包みこんでしまうようないけ花展υ会場全体が一つのいけ花であるようにと願って開いたのが今回の桑原専・版流展なのである。〈表紙の写真〉入口に立っと足下の鏡に真上の吊り花がうつり、目を正面にむけると叩m先の松一色の大立花が大きく迫ってくるu①すどい角があっても草食動物の頭骨には何か優しい夢を見ているような表情がある。暖かそうな、淡い色の中で眠っているに違いない。そんな花がこのけ山り花である。下からは雲の上、二階の窓からは雲の上から見ているような感じにしてみたかったのであるο②の右側は岩山慶寿社中の花である。まず中上げたいのは、あの小柄な岩田さんがよくも乙のような壮大な花をいけて下さったという乙とである。花をいけるととの楽しきゃ喜びがじかにったわってくるような、いけ花である。そのたは塚木炭枝さん達の大作である。栴擬(うめもどき)をこういうとりあわせでいけているのは珍しい。大てい松や格と一緒にいけられていて野暮くさいものであるυ観葉植物と栴擬だけで構成し後は白とピンクの胡蝶附だけで仕上げたのがよかった。花器も黒い土管のようなのと卵型の白い大きな二瓶はよくその作意に合っているω①の布側は三重野鹿芳氏の美の和会の担当で大きな枯葉はカラベラom枚程使っているυ花席の活かし方がすぐれている。同形の色変りの花瓶の右側にはユーカリの実と黄のへレコニア。右側はへレコニアだけ。①の左側は長足度山水さんの新米会、だが低く八方に伸ばした柿のいけ方に注意していただきたい。州、紅葉市電木、鶏頭がいけられているが、最初鬼部(おにすすき)をとりあわせていたのだが、雷電木に変更したυ長出さんの判断には誤まりがなく初冬を飾る佳品である。乙の花はライトがあたると影が美しく写真家に好材料を与えたようである。④は先代家元の写生した生花図と立花凶を表装して出示したコーナーだが大変好評であったο会場正而から人けの方を見た所だが左の方に素子の大作、右側の黒いパックに桜子と、はなの花席が見えるο⑤は北村・民総さんのみどり会の文人調の大作であるο縦の大木をふんだんに使い仏手柑と柚の黄色だけで色彩をそえている。上に朴や仲紺の枯木の芯をのせ上から見た時のことも計算にいれているυ主量のあるこのような枯木は特通花の中心に低く使うものだがありきたりのいけ花では満足出来ない北村さんらしさがよ① ② ③ ④ 4

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