テキスト1982
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二頁の蕗の仙Kもう一瓶椿といけてみたのが乙の写真である。椿は真紅の大輪で、淡色の花器、白花の蕗の問に入ると、際立って美しい。この花は写真撮影のあと、玄関に掛花としていけかえてみたが、楽楽壁によくうつり、写真に見える菅が開花するまで一週間程いけっぱなしで楽しんだ。気軽に挿すだけで何とか様になる花である。蕗と椿ライラックという花は、どのいけ花の手引許を見ても、校ぶりが単調で面白くないと書かれている。呑もよく、中困、ヨーロッパでも古くから愛されて来た花なのに何故か日木では人気がない。ζの白花のライラックは白さも美しく、若葉の緑も新鮮で若々しい。強いオレンジ色の君子闘を後にいけて、前から上の方へライラックで恋うようにすると、全ライラック・君子蘭体の色加が、おだやかな別るさになる。ただ葉が多すぎる場合は必ず花が主体に見える位まで整理してからいけてほしい。満開の白木蓮の大木を見上げているのは気持の良いものである。大きな花が、入道雲のようにかたまって空に浮かび、春の真中に立っているような気がする。紫木蓮の大木らしい大木は見たこ雲柳・紫木蓮・紫陽花とはないが、もし紫木蓮の大木が満開になったら、入道援ではなくて、仙人の雲のようだろう。三月号の雪柳の欄で書いていた、白猫の尾のような雪柳があったので早速いけてみた。花の少ない雪柳は直立させることも出来るが、乙れ位花がつくと、美しくカーブして垂れ下がる。テキスト用にとったいけ花として雪柳・鉄線は大分大きい方で、左右一高さ一・一一m位ある。枝は四本でとの大ききになる。鉄線は大輸を五本。葉を充分つけていけている。花器は加藤巌氏のもので枯木を四、五本彫り乙んで藍色を染付けた私の好きなものの一つである。n一頃から出はじめる室(むろ)咲きの雪柳とくらべると、やはりその季節になって咲いたものの良さがよく分かる。手に入りにくいものではないのだから時々にいけたい。・一ニm、f10

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