テキスト1982
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イキシアHTSは槍水仙とも呼ばれる、あやめ科の花である。剣状の叩佃位の葉の聞から細長い花茎を出し、一本の花茎に十輪程の花をつける。花期は五t六月である。直立して生長するイキシアは、その姿のままに、十本位まとめていけるのが良い。変化をつけようと傾けると倒れたよう花見える。一般的には葉の多い花で水際を囲うζとを考えておく必要がある。上図の場合はミリオクラダスを用意して、カーネーションとイキシアの細い茎の問から見える剣山をかくしている。稽古に用いるならパラとの二種だけのとりあわせが簡単で美しい。が、ガラス花瓶より水盤型式のものの方が扱いよい。白砂かガラスの砂或いはビl玉等で剣山を隠す用意をしていけるが、足もとが乱雑にならないよう、葉の規則的に生え揃ったものを前の方にもって来るか、あらかじめ良い葉をえらんではずしておき花の茎だけいれて、組み直してそえる。イキシアはガラス器にもよくあうその前K葉を下図は太閤(ふとい)と立金花(り?っきんか)をそえて前述のようにいけた花である。立金花は山の極地に、或は浅い水中に掛川落を作って咲く。五月頃戸隠高原あたりでは水芭蕉と一絡に雪どけ水の流れに沿って開花し高原のおそい春を告げる。立金花はその名の通り、黄金色の立姿で水草に近い感じで、何回付(とうぼね)にも似ている。今年の華道京展に束さんが杜若ととりあわせていけておられたが、杜若等あやめ系統の花にはもってこいのとりあわせになってくれる。金鳳花(きんぽうげ)科の花で、蝦夷立金花(えぞのりゅうきんか)や小型で鉢植になる小業立金花等がある。太閤はいけ花にすると日木的な感じがするが蒲と同様に分布純凶が広く同科のものが世界各地で見られる。だから童話の絵の中にもよく出てくるし、海外へ出かけた時池や沼で蒲や太闘の類を見かけると何となく安塙感をおぼえる。美しい花もない野草にそれを感じるのが日木的心情というものらしいようである。〈上段〉〈下段〉イキシアカーネーション(赤)ミリオクラダス花器濃灰色角鉢イキシア薗金花ガラスコンポート一一ー写真説明太立花否lt8

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