テキスト1982
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JV花器シクラメンのザ葉榛(はん)の木の実ラッパ水J仙黄ガラス鉢究家によると、ソロモン玉の美しい衣裳よりも更に美しい百合と記されているのは、おそらくその地方に野生していたチューリップの花だったに違いないという。又シェークスピアの作品に現われた花を調べた学者によると、その時代百合と呼ばれるものの中には水仙やチューリップも入れていたらしい。ついでにシェークスピアの「冬の物語」にはギリシャの話なら香の高い口紅水仙、或は学術的に正確に言うなら日本の水仙と同じタゼッタとするべき所をダッフォディル(一フッパ水仙)と書いている。イギリス人らしい間違いと号一いえる。ギリシャ神話に出てくるナルキソスはイギリスではラッパ水仙でそのイメージを作り上げ他では川紅水仙、日本では和水仙でギリシャ神話を想像しているとなれば我々が一つの花に抱いている固定観念は良い加減なものであると言わざるを得な いけ花の方でも和物とか洋花とか言う区別があるが、水仙や栴も元来は中国からの渡来したものであり、今で言う洋花なのである。派手な花、地味な花といった区別はあっても花の和洋を分けてとりあわせを考えたりするのは大して意味のあることではない。手にした花を無心にいける乙との方が大事なのではないかと思う。ブッパ水仙機j5

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