テキスト1982
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溜色の塗篭で内側に上品に菊の絵が描かれている。花篭ではないのだが私達は何か良いものがあるとつい花をいけてみたくなる。だがよく考えてみれば、て色々なものが作られるようになったのは日本では室町時代以後であろう。各種の銅器も元来は中国で厨房器具或いは食器として使われていたものであり、陶器や篭忙しても古代から花器として存在したものはなかったのではないかと思う。だとすれば何を花器として使っても差支えない訳で、現布でも色んな日用雑器を応用花器として使っているのも当然な事だと言える菓子器や鉢類はよく使われているし、最近の美しいデザインのサラダ.ボウルや水正しに花をいけることもどく普通のことである。そうした道具伝作ゐ人も、ζれは食器であるとか花器であるとか限定しないで作っていることが多い。要するに花が何日間か生き続けてくれる器であれば良いだけのことで、あとはその器を花とどう調和させるかが我々には大切なのであるυ赤椿と小羊歯を篭の中にいけ、杉の敷板の上に柚子を置いて、少し華やかさを出すのに胡蝶闘をつけ加えてみた。少し華やかさをおさえたければ、グリーンの小型シンビジュームが良い。花器と花の関係は自由だが充分考えてとりあわせてほしい。花器とし木曜会は一昨年の十二月に始まったので今月で丁度二年になる。生花を教える方達に教える要領を学んでもらう乙とに主眼をおいて、どく基本的な事を正確にやることから始めたが、皆さんの進歩も着実なので私も大変張合いがあって楽しい。生花というものは、永い歴史の積み重ねで、技巧の上でも随分合理的に完成されている。だから理間にあった稽古を重ねれば、それ程年月をかけなくても上達するものである。そして生花というものの構成の原則が身につけば、その人の好みも自然な形で無理なく反映されてくるようになる。いくら器用な人でも原則を無視すれば生花とは言えないものしかいけられないだろうし、自分の好みを初めから出そうとしてもそれは無理な話である。無心に習うのが最も楽な上達方法である。第二木曜会の開講についてところで木曜会も一昨年から入会された方とは別にもう一クラス−設けて新しい会員を募集したいと思っている。現在の木曜会は第三木曜日花開催しているので、新しく第二木曜日をその研修日としたい。一月からの開講を予定している。現在の木曜会も教程を立てて進めているので、途中から入りにくい方もあると思うので、そのような方の受講をお待ちし申上げている。十二月中にお申込いただくようお願いする。U胡蝶蘭歯羊4審赤子柚花器篭塗杉白木敷板

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