テキスト1982
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乙んなとりあわせは稽古には出て乙ないが、散歩道で摘んで帰った花を即興的に挿してみたようないけ花と言える。きちんとした稽古の花、或いは自分の好みをよく見きわめていけられた自由花。或いは二頁に掲載したような而白い形のものを見付けた時に色々とそれに副えてみる楽しみの花とも少し違うのが乙の花である。庭の花を少し、とか、散歩道で手にした花には、ありあわせのものを少しそえるだけで良い小品花がいけられる。乙の梅擬は上賀茂へ用足しに山かけた訪問先で一枝口ったもので、えの乙ろ草はその近くの原っぱに生えていたものに庇に枯れ残っていた蓮の小葉をそえただけの花で、他の人が見れば何かと言葉はあるだろうが少なくとも私には、その日の朝の、上賀茂の秋附れの楽しい気分を乙の花で二日位は持ち続ける乙とが川来るのである。乙んな花にはなるべく気に入りの花器が良い。小品花なら別に花器らしい花器でなくても、その花によく合いそうなものなら、何でも使える。気楽に自分で楽しめば良い。・えのとろ草・蓮の小葉・花器(大谷焼黒水盤)−梅擬8 、

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