テキスト1982
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ー九月八日・九日|仰木の皆さんは、先々代家元の事を「ひげの先生」と未だに親しみをζめて想い出し、伝えられた立花を守っておられる。仰木は琵琶湖の西岸、奥比叡への道にある。専念寺という本願寺系のお寺があって、その報思講の為の立花を立てるのを、九月八日、九日と見によせていただいた。本版寺の報恩講は本山では一月に行なわれるそうだが、各地では繰りあげて催されている。今回は瀬津氏に同行していただいたが十時すぎにつくと、もう十六瓶が立て終えられて、本堂の片側に、ずらりと並べられていた。写真に出ているのは、本立の正面に据えられる五瓶で、直真の立花三瓶と、除真の立花二瓶の分である。六月に行った時から、どんな松が集められるのか来しみ忙していたが上の写真で白布の前に八瓶並べられているのは全部砂の物ばかりで、それぞれ良い幹を見つけて来ておられる。そしてよく締まった葉を組んで重厚で古風ないけ上がりは、先々代や、先代の立花の面影がよく残されている。その立花と対照的なのは花講の、婦人部の方達の小立花八瓶である。一品さ日佃程の立花瓶に立てられたζの立花は実に可愛い。松を真に、栴擬や白菊をあしらって仲良く並んでいる。父に本願寺や仏光寺に立てられたれ立花の話は聞いていたが、分このような立花だったのだろう。私も養覚さんのとって来られた、氷室杉で砂の物一瓶を立てたが、本当に楽しい一目だった。夜は専念寺の御住職の結城さんと花請の皆さんとで会食し色々と花の話で夜をふかしたが、酒豪が多く、今度行く時は体調をよく調えてから行きたいと思っている。仰木の報恩講11 多

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