テキスト1982
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九月に入ると稽古場で、毎年きまったように、秋の七草が何と何だったか思い出せない。五つまでは分かっているのですが、といった質問をうける。七草の中でも薄、女郎花、萩、桔梗(あさがおの異称)はいけ花にもよく使うので誰でも思い出せるらしいが、葛や藤袴は現代の人々にとって少し縁遠い花である。古来伝承された秋の七草の他にも秋草として親しみゃすく美しいものも多い。まず杜鵠草、秋明菊、鳥兜、彼岸花、竜胆、吾木紅、コスモス、頭、秋海業等がいけ花としてよく使われて親しまれている。杜鵠草も近頃は少しではあるが葉や茎に柔かみのある良い品種が花屋にも入り出したので稽古にも使っている。花屋への入荷量の多くなったものに秋明菊(しゅうめいぎくーーきぶねぎく)がある。秋山菊とはいうが菊科ではなく、きんぼうげ科の花。膏も次々と咲いてくれるのが有難い。吾木紅(われも乙う)は都会地の近郊でもよく見るが、あちらに一本、乙ちらに一本と少ない上に花のつきも少ない。沢山集めて使うと洋花にもよくあう。白花のものもあり、そ「秋の七草」、撫子の五種の仲間には唐糸草がある。彼岸花の咲きはじめる頃からようやく夏の名残りが消える。私は好きなのだが毒花だとかよくない先入感をもっている人も多いが素直にとの花の美しさに惹かれてよい筈である。根にアNカロイドを含んでいるが別にかぶれる訳でもないので好きなようにいければよい。鳥兜も根にアルカロイドを含んでいる毒草だが花屋でも多量に扱われている。大抵洋種のものだが、受性の山で採れる鳥兜の方が秋草らしくて良い。中川慶光さん撮影(はいまつ)中川慶光さんは山登りが好きで暇を見つけては出かけて居られるらしいが、今年の夏は白山の山草のお便りを写真と一緒に頂いた。高山性の美しい花や風景の写真の中で私がとくに興味をもったのは上の這松の写真である。這松の群生している所は時々通ったことはあるが、こんな立派な岩を背景にして、まとまった姿をしているのは見かけた乙とがない。いけ花の大作にも、こんな感じをとりいれてみたいと飽きずに眺めている。以下中川さんの山の御便りの中から花の乙とを抜き書きしてみた。「今年は梅雨明けがおくれていたので、登山も心配していましたが、7月幻日から白山へ行ってきました。登山口の市ノ瀬で一泊して、ひなびた温泉旅館で、静かな夜星がとても美しく大きく見えました。:::中略::山小屋も土、日をさけましたので楽K泊まれました。山上で、池めぐりのガイドテキストを頂きましたので同封しておきます。写真は上手にとれていませんが今年はニッコウキスゲ、ヤマユリはまだつぼみでコパイケイ草が白く咲いていました。同じ頃に行きますが白山コザクラ(サクラ草)が美しく咲いていました。シモツケソウも色がきれいでした。下山する時に写そうと思っていたのですが、雨でとれませんでした。」白山の一一氾松鶏11

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