テキスト1981
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エレムルスとは砂漠に生える長い尾のような花という意味でつけられた名である。乙のいけばなでは白花のヒマラヤ系のもので花穂は卸価程ある。一月号の2頁に書いていた菜種の笑が美しく色づいたのでエレムルスととりあわせる乙とをねらって買って帰る。小量では色の深みが出ないので二束を、枝折れしたものを除いて巾約加畑、奥行はω佃位に前後に重なるようにいける。花器が銅の打出しのピカピカしたものなので花にも厚みが必要である。菜種、エレムルスといけて二種の明るい花に緑をそえるならやはり若々しい感じの広葉がよい。手近な花材のうちで、蕗の葉が全体のまとめ役に、乙の場合最適のようである。切りとってすぐにいければ三日や四日は充分もってくれる。ととで使った銅器は皆が苦手の花器で、乙のテキストにも一度も出ていないようである。四月のかよう会で則周さんが、さねかずらを主材にして成功していたが、皆さんのお宅にも良いものでありながら何となく使いにくくて、しまい乙んだままになっている花器もある乙とと思うοそんな花器にもたまに、ぴったりした花が見つかるζともある。すかさずいけてみよう。そんな考え方から手早くいけ上げた、いけばなである。レムノレス葉のエ蕗の実北大路から樺の並木をぬけて入る植物園の入口は若葉の頃が良い。ただ何となく行ってみるが帰りにはやはり何となく勉強になったような気がするものである。植物園の樹木は濫にいれられた熊のような感じがするし、草花は水族館の小魚にも似ている。樹木なら自然の大木を見るか、寺院の庭のよく手入れされた姿を見た方が良いとは言えるが、沢山の種類の植物を一カ所で、なるべく自然な状態で名前まではっきり教えてもらえる所は植物園以外にない。水族館や動物園と達って植物園は春夏秋冬それぞれ変化するので年に四回は行かなければ面白くない。花の時季も京都近辺の標準を知る乙とも出来るし、同属聞の一寸した達いも通っている聞に覚えてしまう。植物園に限らず美術館や音楽会は一人で行くより身近な者と二人で行く方がいいようである。二人で行けば必ず興味の方向が二つに分かれ、自分の見落としていた良さを気付かせてもらえる。私達が何かと利用している植物園のモデルはやはりヨーロッパであろう。厳密にいえば文明の発祥と共に古いともいえる。エジプトでは紀元「植物園」(フキ〉菜種(銅打出し花瓶)4

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