テキスト1981
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く山ている。玄人向の一瓶である。⑤は長谷川慶賀、吉田鹿照、小野慶鼎さん述の自然組味から踏み出さずにこれまでになかったような花をいけてみたいという意欲からいけられたものである。⑤と同様な傾向のいけ花で左右の要として重要な位置だけに花材、花m市共に充分計算されている。こ乙に使った松は多行松の一種で海岸の湖風花枝がまるめられ葉が櫛でといたようになった珍しいものであるυ⑦は瀬津町民定、巾川慶光、大森山鹿悦、多旧慶裕、山根底山本各社中の美しい紅葉を主にした一作だが紅葉とココ榔子の色の対比が美しい。下の方に白い鉄線がいけられてココ榔子という異間的な植物が違和感なくおさまっている。向然にはあり得ないようなとりあわせでありながら見る者に異様さを感じさせないすぐれたいけ花である。紙而が少ないので写真を掲載出来なかったが、立花のもう一作を川合・谷口・古田・の三氏に出品していただいたが、現代風なとりあわせで十栴吃引いた自由な作風も富春軒らしくて将来性を示している。向陽合(代表西旧炭一止氏)のんい花二作は悠然とした上品さが感じられる。石川股由・岡田鹿美の両社中は竹の根とニッパ榔子の実にレナンセラをそえていたが、ぷ子の入円横の大作に似通った張りとつやのあるいけ方が感じられる。十日在加会の}日同山。後藤社中のウパと旅人の木にオンシジュ11ムをあしらった花は、ウパというかさついた粘草がみずみずしく見えるような感じにいけられているのは花器の選択が当を得ているからであろう。家元社中の二作がその横に並んだが芸丹(うに)の殻と銅板を葉の形にとりつけたものは、皆で叩き山して作り上げた楽しさが感じられる。子供達にも好評だった。隣のとがった木を主にして、サボテンのいけられた花はハンギンクへレコニアがのびのびとしていて気持のよい出来ばえである。家元社中の中作席の一つで附した朴の枝葉と、各種の闘を三瓶にいけ分けたいけ花は前後の花から抜け出るような色の鮮やかさで目立っている。以上中・大作だけは説明する乙とが出来たが紙数の都合で個人作の方まで書けないのが残念である。大・中作席は四方正面であるだけでなく上から見下ろしてもらうつもりだったので五方正面ともいえる例のないいけ花ばかりである。そしてどのいけ花も重なって見適される事も考慮していけている。難しい桑原専鹿流展だった。(③は会場外)① ⑤ ⑦ ③ 5

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