テキスト1981
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蕊園山川黍くきび〉私の使っている植物辞典で蓄積(ばら)科については一O八頁もある。二八OO頁の中での一O八頁なのだから蓄積科は大世帯である。その一つが吾亦紅(われもこう)である。吾木香とも書く。近縁種に唐糸草があり葉がよく似ている。花らしくない花だが日本中到る所に咲き秋を告げる。黍と蓄積を共にいけたが、この蓄積は吾亦紅が人聞によって遠い親類と見破られている乙とを知らないだろう。黍より少し吾亦紅の方が濃い焦茶色なので点々とした花もよく目立ち黍の茎の間にあって視点の動きにつれて奥行きが感じられる。乙の二つの地味な色には明るい鮮やかな色と緑がほしい。蓄積を五輪黍の茎をかくさない高さに添えた。色は真紅である。花器は僅かに青みのある白磁の花器。丸味があって柔らかく上の花を・つけている。蓄積は長く前に倒して一本、それに続かせて左右に高低をつけながら黍の後にまでいけている。黍の茎の後になっている蓄積は充分目立ち、実際には印侃位の前後の長さを、卸価程にも見せてくれている。後の方に見えがくれに使う花は、何本かの中で一番小さく細いものをえらぷと一層遠近感を強める乙とが出来る。吾亦紅の手に入る期間は短い。秋には必ず一度はいけてみるべき花である。8 るまら〉吾亦紅〈われも乙う〉花器白資花瓶

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