テキスト1981
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向日葵枯実透百合(すかしゆり)パンパス、グラス花器八角型濃紺深鉢並門通パンパスとは呼ぶがパンパスグラスが正しい。パンパスとはアルゼンチンを中心とした乾燥性の草原地帯をいう。パンパスの主役は稲科の植物で段竹の系統のパンパスグラスもその一つである。広大なパンパスは、その殆どが牛や馬の牧場として利用されヨーロッパや日本にも輸出される食用肉の産地である。アルゼンチンのカウボーイは、ガウチョという。アメリカ西部のカウボーイとは違った気風があり、美しい唄で親しまれている。花をいけるのにその原産地の乙とを少しは知っておくのもいい乙とである。別に原産地の感じをとりいれる必要はないにしても、いけながら色んな夢をふくらませられて、いける楽しみもふえるのではないかと思っている。透行合(スカシユリ)の黄色と枯向日葵の色はよくあうが、その二種だけでは少しかさついた感じが強いようなのでパンパスグラスのむきたての水々しい柔らかさをそえてまとめている。乙の花全体の色調はやはり透百合の黄と花器の紺色で決定されている。紺と黄の強いコントラストを枯向日葵で強めたり、パンパスグラスでやわらげたりしながら、いけ上げた花である。10

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