テキスト1981
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パイナップルリリトコiU桔梗花器足長コントl卜昨年あるいけ花展の記念パーティの席で、大学の先生ちしい人が「これ乙れ、乙う言う理由からもいけ花は立派な芸術であります」とスピーチされていたが、私にとっては恥ずかしいような憤りを感じるものであった。真面目にいけ花を考えて居る人達、或は近代的造型芸術としてのいけ花を目指している人々Kしても、白けた気分を味わった乙とに違いない。明治初年に、いけ花人が味わったであろうヨーロッパ芸術との述和感誰かにニ一一れわれた時の白けた気分。その辺を正確に見きわめてみる必要がある。いけ花Kかかわりを持つ人は多いし先すいけ花を習っている人、それを教える先生、家元、いけ花の解説や評論をする人、花嵐さん、道具を作る人達レ中でも家元である私述のいけ花に関する考えの根底が定まっていないなら無責任極まると言わねばならない。〈写真白〉パイナップルリリーは日持ちの良い花であるο南アフリカ産の球根植物で花展にも多く並んでいる。形は変っているが色はおとなしいのだから色の鮮やかな花ととりあわせるとよい。乙乙では濃いピンクのトルコ桔梗ととりあわせてみた。一桁にいけた葉もパイナップルリリlの葉である。いけ花も芸術でありますといけ花に対する考え方が定まらない場合、近代芸術論にひっかかってアラレもないことをしてみたり、復古調の怪しげな懐古趣味にとりつかれたりして、流内にとっても大迷惑な話である。だが現在の処、未だ納得出来るように普かれたいけ花の書物は出ていない。伝統と西欧化が巧みに接合された現在のいけ花の本当の姿を描くには何をとり去り、何を残すのか。世界中にひろまりつつあるいけ花であるだけに、今までの気楽ないけ花観によらず東西の文化の差を知り、その上での理想像を求めなければならない。日本人は過去に仏教をとりいれ儒教文化もとりとんで来たが両方共を大きく変形させ、殆ど異質といえるようなものにしているυそれでいながら中凶と白木は同じ文化で結ぼれていると最近まで錯覚していたのである。彼我の売を正確に知るととが大切な時期なのである。今年になってからトルコ桔梗に濃いピンクの丈の長いよいものが出まわっているνトルコ桔梗は北アメリカの、不。アラスカ州やテキサス州の原産で龍脆科(リンドウカ)に属する。昭和十年頃から栽培されているが、最近特によくなった花の一つであろう。開花の上に小さな咲きそうにもない苦がかぶさるがそれは切りとっていけてほしい。ノレ9

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