テキスト1981
100/156

夏の池を渡って来る風は、なまぬるい水のにおい、向乙うの原っぱの草いきれ、ほんのかすかに魚のにおいも運んでくるυ涼しい風ではないが夏の日盛りはそんなものである。ζの花もおみなえし(女郎花)でなく睡蓮でもいければもっと涼しそうに見られるかもしれないが、どうも暑中見舞いの葉書みたいな感じがしそうである。私自身はこのいけ花を何となく眺めている問に蛸蛤釣りに行った池を一つのもの想い出したりしているοを眺めながらも感じるととは人様々であるu数学の解答のように一つのものだけが正しいのではない。一人一人の生活体験が追う以上同じものを見て起乙す反応は色々あって当然なのである。芸術は世界共通であるという言葉は私には信じ難い。良い例として東郷元帥の国葬の時ある外同で迫仰の為に放送された円木の曲が「活惚れ」(かっぽれ)だったそうである。日本人は乙の曲を俗曲中でも最も愉快なものと感じているο芸術が世界中共通の感情を起乙させるものなら、その国の人もまさか「活惚れ」はえらびはしなかったであろう。白木人が愉快と思う音楽をその閏の人は同じように愉快なものとは感じずに、悲しみの音楽のように感じたのであるυ好評の同書も到在なお、注文がきておりますοまだ伐りがありますが御人用の方はなるべく早く御巾込み下さい。岸川は従米通りでどざいます。今年の祇園祭にはいけ花を飾って『専渓生花百事』るο私達と一緒に旅行するのと違っ展観したり、祭の行事に参加したので七月は半ば過ぎまで結構忙しくなってしまった。桜子は今ニlス大学で勉強していて大学での食事の質ぷなのには困っているようであるu比頃ようやく花の事にも気がつくようになって、自につく北の事も知らせて来てくれるο昨日の手紙ではベコニア、アガパンパス、爽竹桃、ニース近辺には植物閑が二カ所ある。モナコのカクタスガーデンと酒造業のマルニエ氏の私設植物悶があるが後者は紹介が必要である。モナコのカクタス・ガーデンはサボテンを集めているが山の中腹で見おろすモナコの町が美しい。プIゲンピレアが盛季らしい。水と風雑記帳−!::.郎花若ネL

元のページ  ../index.html#100

このブックを見る