テキスト1980
73/137

桜に姫百合、コデマリに野菊とか配合のよい材料を二種組み合せて活けるのが普通になっている。また、主材にあしらいの花を添えるのがおきまりの様に考える人もあるのだが乙の考え方はよくない。主材一種ではなんとなく物足りないので、あし長いの草花を添えるのだが、一種の花で充分なれば、あしらいの花を添える必要はない。一括で活けた方が花を引き立てることになる場合もあって、ことにこのごろの様に初夏に入ると、賑やかな花よりも一碍類の材料をきっぱりと活けてあるのが好感をもたれるといった場合が多い。一例をあげてみると、カキツバタ、ハナショウブ、合の類、ボタン、パラ、ツツジ\テッセン、シダを盛花にする。日本置のテッセンは中部地方の山地花野生する草花である。シ、ダとよく調和する。濃い紫の花が清爽な感じで季節向きに好ましい。\月刊京都/7月号掲載\ソ内ノササユリ、オダマキソウ、カンその他、一種で活けて乙そ花を引き立てる乙とになる材料が随分ある。六、七月どろ初夏より反にかけての花は、淡泊に清楚な感じのものが好ましく、二極以上も取合せることは無駄である。ささゆり一初、かきっぱた一種、日光キスゲ一種の様に、あっさりと単純に入れてとそ風雅であり、花を引き立てることになる。洋花類は色彩が華やかである乙とが特徴であり、温室咲きの頃から三、四月まで、春のいけばなに適した材料といえるが、少し汗ばむ季節の六、七Aどろには、自然趣味の山野の緑の木葉、日本種の野趣の花を一種、淡泊に投入れ掃しに活けた様ないけばなが最も好ましい。花器も白色の陶器、淡青盗の語、藍絵の壷、篭の類、透明のガラス器が花を引き立てる乙とになるω紅色、紫色などのガラス器は悪趣味といえるυ篭は白竹、褐色いずれでもよいが、なるべく単純な形のものが好ましい。六月はじめより七月へかけての好ましい材料としては、背楓・姫百合青倒・すいれんささゆり一種さんきらい・野菊すすき若葉・桔梗花菖蒲・雪柳青葉以上の様に、自然趣味であり清涼感のある花材が季節向きにふさわしい。七月の早朝、少し冷えびえとした時聞に花を活けて床の間に飾る。壷に入れた水が、壷の表まで露を浮かせですがすがしい。簡単に二、三本の花を投入れ挿しに活けて床の間に飾る。飾り気のない花だが、上手下手を抜きにして、いい趣味だな、と思うのはこの様な小品花である。いちばん俗なのは、季節感を考えずに型通りに活けた花。ただ賑やかに盛り立てた様な花。暑苦しい様な花を活けるのは嫌だと思います。水盤にカキツバタの葉だけ自然風に立てて、そのすそもとに桔梗二t三本を添えるといった、意匠的な考えも必要です。雪柳の緑の葉を水盤に挿して、その蔭に睡蓮の花だけ二輪ほど入れる(葉は用いない)など添えるのは低俗趣味といえる。緑の小葉のナルコユリに朱色の姫百合、紫桔梗を低く葉の繁みに埋める様にさし添えて、写実風な盛花を作るのも好ましい。技術的に上手下手を問題にせず、趣味のよい配合、感覚のよい意匠的な考え方、乙れがなにより大切です。ことに夏へかけての花は、清爽の感じのある、そんな花がなにより好ましいと思うのです。巻葉百d/はな"""'-I\ 月12

元のページ  ../index.html#73

このブックを見る