テキスト1980
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和紙の原料は山地に野生するミツマタ、西日本の山地の各所に自生するコウゾ、また栽培砲のコウゾなどで、その繊維を使って紙を作る。私はその製紙の実際を見るために、冷え冷えとした初冬の午後、京都の西山を越えて嵯峨、危岡から綾祁へ向かって車を走らせた。曇り空に西陽のさす寒、さむとした丹波街道を綾部まで行き、磯部市に入ってロキロほど国道幻号線を走らせると山間の小部落が黒谷だった。黒谷川の細々とした渓流に沿うて紙作りの部落があったが、その辺が黒芥和紙の中心地であるリ黒公什和紙農協の事務所を誌乙うぞを煮る問すると、黒谷和紙振興会々長の中村元氏にお会いするζとができ、和紙に関する惟史やその工程、品種など懇切なお話をきく乙とができた。紙の原料になるミツマタ、コウゾ、ガンピまたトロロアオイなどは、渓流に近い山地に野生し、作机培叩刊の市木を材料とする関係もあって、古来、山村の手工業として成り立ってきたものと考えられる。掲峨の写古川(にあるようにミツマタは一メートル程度のかんぼくで、山地の渓流に野生するものだが五月どろ三つに分岐した枝に陪黄⑥紙をすく⑦和紙を色の花を咲かせ、稀にはいけばな材料として用いられる乙ともある。(京都では鹿ヶ谷の渓流にそうてとのミツマタが植栽されており五月乙ろ黄褐色の花を咲かせている)水辺に育つ性質のかんぼくであるυ原料となるかんぼくの樹皮をはぎとり、充分水洗して乾燥する。さらに煮沸してどろどろになるまで煮つめる。乙のときトロロアオイという草を粘着のための材料として加え、すだれ状のすのζですき上げ、一枚、一枚と重ねてゆく。水分をとり去り、一枚ずつはがす様ιして板にはりつけ、かわかした上で裁断して仕上がりという乙とになる。自然の草木の繊維によって作られる和紙は柔かく、しかも質の強靭な和紙独特のもち味をあらわす乙とになる。最近は機械すきの和(写真②)紙が出来るようになったが、乙の黒谷の和紙をみると、全く手作りの味わいがあり、重厚な品格が感じられるο田市谷和紙の見学者が多く、団体見学などもあって中々賑やかな様子だが、日本のふるさとを見るような和紙の里は、私たちにとってい凍い感銘を与えられた。11 ⑤ 一十す⑤ ⑦

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