テキスト1980
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赤い小粒の、秋の実ものの中で、とりわけ薮山査子が好きである。小さなガラス玉に真赤な果汁をつめたような道明感、赤も大変明るい赤で野暮くささがない。山莱貰(さんしゅゆ)の実の色も好きなのだが最近花屋の入荷も少ないようである。淡緑色から赤黒くなるまでずっと美しく、いつのものでもいけてみたくなるのが山帰来(さるとりいばら)。つるもどきは緑色の頃の方が色としては品がよいのでとりあわせには苦労しなくてすむ。紫色で代表的なのが紫式部。地方により色々な名前がついている。小粒のものと大粒で色の少し濃い自のがある。小粒のものと秋草を、大粒のものはかためて洋花ととりあわせてもよくうつる。大粒の紫式部に海芋(かゆう)も好きなとりあわせで稽古にも使いたい。薄紅色で美しいのは檀(まゆみ)で、実のさけた聞から赤い種子がのぞいているのもかわいいものだ。校ぷりの良いのが少ないようなので秋草といけて楽しむととが多い。薮山査子は京都近郊の山でもよく見かけるが花の時期には洋種の山脊一千の赤、ピンクが美しい。次の頁の山査チのいけばなは日月号用にとったものだがモノクロ写真ではあるが山査子の実の透明感がよく出ていると思う。モンステラと二碍だけで濃紺の深鉢にいけた。濃紺と赤のコントラストがζの花のねらいである。花器の紺色は黒に近い、いわゆる、千lビーブルーで山査子の明るい亦にはもってこいの色あいをしている。、不クタイならこれだけの色でいいのだろうが、いけばなの場合にはグリーンの葉がないとどうしてもかさかさした感じになってしまう。モンステラの葉も乙んな時には都合のよいものである。三枚を充分奥行をとっていけている。随分と量感のある花に見えるが、見た目程には場所はとらない。飾り棚の上Kも置ける位の大ききである。明るい室内で山査子の実がつややかに見えるようにしたい。近頃モンステラの葉と同様によく使われるのが、アンスリュlムの葉である。以前は葉を切ると花が咲かないとかでアンスリュlムの葉はそんなに出まわっていなかったが、どうした訳か何時でも使えるようになってしまった。茎が細長くモンステラより粍やかにいける乙とが出来る。常用する花材として使い乙なす稽古をしてほしいと思っている。@ 6

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